【0323】民間出身国税審判官の或る日の日記(その80)

1.平成27年〇月〇日

国税労組のビラは、確定申告期を乗り切れるための要望書を本日局長に手交することが書かれていたが、定員が147名も減っているようだ。
確定申告期の閉庁日(日曜日)対応を見直すこと、朝の受付開始を9時ないし9時15分にすること、などを要求しているが、いったん広げたサービスを縮減するのはなかなか難しい。
朝のエレベータで主任審判官と同じになり、札幌土産を持った人が13階で降りて管理課方向に行くのを不思議そうに見ていたが、今日は基幹支部研修である。

2.基幹支部研修

冒頭、所長講義が30分あったが、おもに自身の裁判官に基づく経験の話があった。
「人は見たい物しか見ない(見えない)」というコメントが印象的だった。
裁判官出身審判官は、前半は概論、後半は4月からの経験に基づく事例の講義だったが、前半で印象に残ったのは、「積極的課税要件事実(通則法65条1項)と消極的課税要件事実(4項5項)の違い」、「負けさせる側に立証責任が果たせないことを押しつけるのは、職権収集ができる審判所としてはリスクあり」「争点確認表は課税要件に関係のあることに絞って送り、苦情など追加を言われたらその時に最小限を追加する。」「答述申述は証拠内容にすぎず認定事実欄に記載しない。」という話だったが、午前終了後、「請求人の属性にもよるけど」などと部門で言っていた。
事例については、やはり昨事務年度、自分が支所で担当したJ事件の「・・・」が取り上げられて当てられた。
あと、「・・・するのもどうか」というコメントがあった。
また、当時合議体であったK事件の後行年分事件で、「・・・」というコメントもあったが、あれはの先行年分事件の布石もあるのだがやはり理解されなかったようだ。
また。支所の副審判官が担当した「・・・」も「悪い例」で入っていた。
審理部研修担当審査官はいつもに増しての毒舌全開であり、「・・・」などの発言もしていた。
ただ、「参加審判官など他の人の目が入っていない段階で最終合議に議決書案を添付しているのではないか。」「過去の法令解釈などをかなぐり捨てていきなり自説を展開しない。」などのコメントも毒舌付きでされていたが、それはもっともかもしれない。
スライドは本編では使わず狂歌をいくつか披露していたが、「議決書に主張と証拠を書き並べ書き留められず皆と(かいと)ズボ変え」「モデル処理期間にこだわり首を絞め作りし議決書はや差戻し」など5つくらいあった。
審理部副審判官は、「掲(けい)げる」のみならず「定(てい)める」とも言っていた。
口頭意見陳述の陳述は請求人の主張だが、発問とその回答は主張や証拠にならないので、その峻別と別途書面を徴求させることの手間などを要する(現在の同席主張説明もそうだが)。
「答弁書期限は・・・になりそうだ」「現在は・・・していないが、今後は・・・する可能性があること」「原処分庁による職権調査の申立及び閲覧謄写請求」について話があった。
審理部審査官はメリハリがないタラタラした内容で、正直よく理解できなかったが、「・・・」という話があった。

3.半キレの女性の声

B事件の異議担当だった支所のC審査官と休憩時間に断続的に話したが、「請求人は・・・であると代理人が言っていた」などのアドバイスをくれた。
B審査官は、「・・・」とC審査官が言っているのを聞いて送達先について気になっているようだった。
B事件の答弁書掲載資料が96条証拠で出ていないことについて状況をB審査官に聞くと、現在決裁中であり96条で送ってくれるようである。
主任審判官も残っていたが、明日人間ドックのため6時過ぎに退所する。
自分は、A審査官の作業待ちの時間つぶしにB事件の求釈明事項を考える。
・・・であれば面談で、先行事件ベースの主張をさせようとして追加する。
すると、A審査官が察したのか、「A事件の議決書案を待っているんですか?A事件は明日のお昼になりますよ。」とあっさり言われる。
明日は5時までに所長及び次席審判官に配付したいということで、タイムリミットは午後3時である。
1部門のB事件は、審理部は取消方向だが、合議体(特に弁護士出身審判官)は棄却方向という珍しい展開である。
20時15分頃にA審査官(と1部門の弁護士出身審判官と審査官)を残して退所しようとすると、エレベータホールのところで女性が半キレになっている声が管理課方向から聞こえてきた。
どうやら管理係の審査官のようで、係長か誰かがなだめている感じだった。

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