【0289】民間出身国税審判官の或る日の日記(その46)

1.平成27年7月15日

税理士協同組合からもらった図解法人税を持ってくる。
A事件とB事件につき、担当審判官の指定決裁が回ってきたが、B事件については担当審判官ということで身が引き締まる。
弁護士出身審判官はガシガシチェックしていたが、自分は「A審査官の起案なら大丈夫だろう。」との他力本願的なところがあり、最低限のところだけチェックする。
主任審判官が、「部長は甲殻類がダメなので部の飲み会では中華は外した方が。」という話があったが、そういえば以前の飲み会で「甲殻類が苦手なので。」ということで当時管理課長だった部長の分のエビガニ類をもらったような気がする。
11時ころ出て引継ぎのために神戸支所に向かうが、時間調整するにしても暑いので支所には12時半ころに入り、支所の副審判官・B審査官と雑談する。
一緒に神戸支所から本所に異動したプロパー出身審判官も引き継ぎに来ていたようで、シューアイスの差し入れをしたようだったが、「自分もしなきゃいけなかったかな?」と思う(一抹の不安があったが)。
支所長室に挨拶に入り何だか不思議な感じもするが、支所長は審判所の経歴が長いのでこちらの方が似合うだろう。
B事件の担当審判官になることを伝えると驚いていたが、昔に調査を担当したことがあるようだ。「B審査官の庶務担当はどうですか?」と水を向けたが「これからですね。」と返された。
そうこうしているうちに自分の後任となる弁護士出身審判官が到着し支所長室で歓談したが、なぜか自分もその部屋に居た。
B審査官のパソコンを借りて引き継ぎしたが、結局書類だけの引き継ぎで終わった。
「C事件はともかく、D事件は・・・について不明確なところがあり、もう少しそこを詰める必要がありますね」ということを言われた。
午後3時から支所の打ち合わせなので3時前に終わるが、最後に審議室で弁護士出身審判官と2人だけで「B審査官のパフォーマンスがいまいち」ということを伝えておいた。
新しい総括審判官や副審判官からは「大阪本所には、『来てなかったですよ。』『午後1時半には出られましたよ。』と言っておこうか?」と弄われつつ、支所長に挨拶して支所を出る。
主任審判官に電話して直帰する。

2.平成27年7月16日

人間ドックの案内が来ていて、C審査官が「みんな受けるものなんですか?」とA審査官に聞いているが、確かにC審査官は35歳前後だからそう思うのも無理はないか。
B事件の反論書が昨日届いていたが、A審査官が「内容に新しいものはなさそうですね。」ということで、原処分庁に送るだけ送る。
口頭では「意見なし」とのことだが、意見書提出依頼として送り「意見なし]の回答をもらうことにしたいようだ・・・まあその方が原処分庁の意思が明確になるが。
総務1係の主任が、今日も「出勤簿に印鑑を押してください。」と言いに来て、これから毎日?」と思ったら、出勤簿に庶務担当審査官が代わりに押印していたのは神戸支所だけだったようで、庶務担当審査官が本所に報告する必要があり、個人に任せていると誤りもあるので、庶務担当審査官が代理で押していたようだ。
実は、出勤簿は毎朝フリーデスクにおいてあるようであり(全く気付かず)、これからは毎日自分で押すことになるようである・・・それが本来か。
新しい次席審判官が着任しあいさつ回りをしていたが、普通の気の良いおじさんではないのか?
その後、「次席の着任は今日ではなく、来週明けになるので、担当審判官の変更決裁もそれ以降になる。」との連絡を受けた。
となると、担当審判官変更通知も当事者への電話連絡も原処分庁への意見書提出依頼も今週にできないということではないか!・・・客を待たせるな。
正式着任を着任期限ギリギリにするのは、着任してから引っ越しなどで来ない場合は休暇を取らなけれぱならないからだそうだ。
だから、「赴任期間中に私用で旅行に行く場合は休暇申請しろよ。」というごく当たり前の注意事項があるのだろう。
審理部の裁判官出身審判官が裁判官書記官出身であるC審査官を訪ねてきて、「審理部の研修教材を手伝ってくれないかな~?」みたいなことのジャブを打って帰って行った。
そのあと、副審判官が「あの人は誰?」とC審査官に聞いていたが「裁判官なんです。見えないでしょうけど。」と返していた。
総括審判官から、「所長訓示は15時25分までに必ず会議室に集まるように。そして留守番はD審査官にお願いする。」という指示があったが、所長を待たせないというしきたりがここでも徹底している。
来週の木曜日の午後に、2部門の事件についての検討会をすることになり、それまでに自分の担当事件の読み込みを進めるようにとの指示が主任審判官からあった。
新しい京都支所長の着任挨拶があった。

3.所長訓示・幹部会・顔合わせ会

所長訓示は、最前列に部長以上が揃うだけで、あとは雑然としている感じだった。
別室待機の支所長を呼ぶ前に次席審判官を呼んでしまい、管理課長が「管理課のミスです。」と恐縮していた。
所長からは5点ばかりの訓示があったが、前事務年度の最後の訓示と同様で10分くらいの内容だった。
その後の副審判官以上で構成する幹部会も「我々は裁決で評価される」などの本部所長訓示のおさらいのような訓示だった。
新事務年度の顔合わせ会は本来午後6時15分開始だが、台風接近のため午後6時開始に前倒しになり、みんな5時半ダッシュで会場に行く。
担当審判官を引継ぐB事件の前任者であった審判官に挨拶に行ったが、「自分は取り消し方向で考えていたが、前の部長とそりが合わず両論併記のようになって・・・後は任せますわ。」みたいなことを言われた。
前任審判官としては、・・・という考えのようであるが、行政判断としてはなかなか難しいらしい。
早い時間帯からみんな立ち出して入り乱れるが、所長、次席ともに2部門全員で挨拶に行った。
最後は審理部長の1本締めで終了し、今事務年度から採用された弁護士出身審判官とともに京阪で帰るが、官舎は任官当日になってやっと部屋が見れて、しかもクーラーも何もなくて、環境が整うまで家族は実家で待機なんだそうだ。
「緩さと堅苦しさが同居した組織」など、この1年間の自分の感想などを伝える。

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