【0128】民間出身国税審判官の或る日の日記(その20)

1.平成27年3月〇日

今日は庶務担当審査官が休暇であるが、我々よりひと足早く籠松明見物の下見に行っているようだ。
今日の出勤状況を確認した大阪本所管理課総務係の主任が、「来週月曜日に予定されている(支所総員10名のうち)この5名の3時間の年次休暇は何でしょうか?」という照会をしてきた。
しかも、審査官がうやむやに回答したので、向こうは余計に不思議だったかもしれない。
大方は東大寺二月堂までの移動時間であるが、総務係としては「事情を聞け!」ということになったのだろう。

(補足)
「国税職員の部下たるもの、上司の厚生行事の下見に、部下が休暇を犠牲にして行くのが当然」と考える方もいまだにおられるようです。
この後に、支所で花見が開催されたのですが、それについても審査官2名が退勤後の夕方に下見に行って、バスの時間やその後の懇親会の場所選定などをして、翌日、副審判官に「おまえら、(厚生行事が)好きやな~」と弄われていましたが、本人たちは何も好き好んで対応しているわけではありません・・・。

2.e-Taxでも審査請求はできるが・・・。

朝一番に、別の審査官がe-Taxのチェックをしていたが、実際にe-Taxで審査請求が出てきたら、みんな「どう処理したら良いんだ~!」という感じになるだろう。
総括審判官に聞いたところでは、自分が副署長をしていた平成21年当時はe-Taxによりデータで税務申告書が提出されても、所轄税務署ではそれを全部アウトプットしていたらしい。
その法人が国税局所管法人であれば2部(さらに連結納税であれば会計検査院にも1部)アウトプットすることになるし、送信枚数とアウトプット枚数をチェックして袋とじして割り印してという作業を署内総出でしないといけなかったようである。
大規模税務署になると、1社の連結納税であっても連結子法人が数百社に上ることもあって、他の書類が混ざらないように専用のプリンタを別室に用意して配線して、一日中動かしてアウトプットしていたらしいが、e-Taxの趣旨と逆行している気がしてならない。

3.議決書の審判部内チェック

別の副審判官が自分のいる部門の副審判官に、「H事件の議決書の検算をお願いします。」といつもの下手でお願いしに来て、「自分しかいませんから。」と言っていたが、この業務は審判官に依頼してはダメなのだろうか・・・別の事件についても自分には検算が回ってこなかったが、民間出身の国税審判官には回さないのか、それとも(副審判官から)審判官にそんな依頼をすることは失礼ということなのか。

(補足)
原処分の取消しを求める審査請求に対する裁決書案(議決書)を起案する以上、その議決書には数額(金額・割合)や法令・通達の文言のオンパレードとなりますし、何より(マスキング前の生の議決書には)固有名詞が多く登場します。
国税不服審判所では、審理に関係した者はもちろんのこと、それ以外の者によって、再度、原処分関係資料や法令・通達と照らし合わせて、ダブルチェックする取り組みが行われていました。
そのチェックの性格上、監査を職務とする公認会計士やそもそも税金計算に明るい税理士はその任に打ってつけだと個人的には思っていたのですが、自分の下にチェック依頼が来たことはありませんでした。
もしかして「審判官にそんな雑用をさせるなんて!」という忖度が働いていたのかもしれませんが、弁護士出身の審判官ならともかく、公認会計士・税理士出身審判官には依頼してもらっても良かったと思っています。

4.旅行の行方

支所旅行の進捗状況を聞くと、結局参加は(支所総員10名のうち)8人ということだったが、不参加の2人はともに厚生委員である。
予算は給料からの積立目いっぱいの(5,000円×11か月=)55,000円ギリギリであるが、やはりこの規模でバスを借りると割高になるのだな・・・と実感する。
国税組織1年目は何事も経験であるので、来る者拒まずという考え方で厚生行事も参加してきたが、来事務年度からは1泊旅行は努めて回避の方向で動かなければ・・・

(補足)
旅行に限らず厚生行事が多かったのは、仲良くなれる反面、ドライな人間関係が当たり前の監査法人から転じた者にとってはいささかうざったいところもありました。
結局、支所旅行は平均年齢50歳台のおじさん8名でマイクロバス(と運転手)を借り切って高野山方面に行きましたが、バスの座席も建制順になっているなど、外様職員から見るとそれはそれで面白いものがありました。

5.裁判所出身者の送別会

夜は民間出身の国税審判官による、裁判官出身の審判官と裁判所書記官出身の審査官の送別会があり、支所の弁護士出身審判官に食らいつくように17時1分に支所を出て大阪の天満橋に向かう。
気が付けば結局3時間半も喋っていたが。国税プロパー職員と異なり同じ外様の立場だからか楽しくて時間が早く過ぎた。
自分と同じ立場は林さんが最も近いが、林さんも1年目はしんどかったそうである。
今年7月で任期満了予定である審判官は2名とも任期延長を希望していたが叶わなかったようであり、自分のときも厳しいのではないかと感じた。

(補足)
国税職員と民間出身の国税審判官の異動は7月10日ですが、裁判所出身者(大阪国税不服審判所では審判所長・法規審査担当の審判官・裁判所書記官担当の審査官)は4月異動であり、民間出身の国税審判官による後者2名の送別会を行いました。
確かに、裁判官・裁判所書記官は税理士・公認会計士が日常業務で関わることのない者ではあるものの、国税不服審判所では民間出身の国税審判官と同様「外様職員」の仲間でもあり、年齢は我々と同世代でもあったことから、国税プロパー職員中心の審判部の懇親会よりもむしろ胸襟を開いて交流することができたような気がします。
上記の林さんとは、国税審判官任期満了退官後に、税理士業界から初めて東京地方裁判所の裁判所調査官に任官された林由美子さんのことですが、林さんと2人になると「税理士(・公認会計士)出身者は弁護士ほど国税プロパー職員から頼りにされていなくてツライよね。」といった会話をしていたものでした。

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