【0112】民間出身国税審判官の或る日の日記(その12)

1.平成26年12月〇日・〇日

始業前には、普通科の寮生活の話(4人部屋、消灯時にブレーカーを落とされる、毎日が修学旅行の就寝のよう)、国税庁採用ホームページでかわいい女性職員が掲載されている(と言いながら職員録をめくる)といったたわいもない話をしていた。

(補足)
高卒相当の普通科で採用されると、1年間税務大学校で寮生活をしながら税法の基礎や税務行政のしきたりをみっちり学びます。
私の所属していた1部門は私以外の4人が皆普通科出身でありこの寮生活を経験しています。
現在の寮環境は改善しているようですが、私の周りの職員が普通科生であった少なくとも25年以上前は上記のような環境だったようです。

2.原処分庁調査

A署にB事件の原処分庁調査。
はじめに署長に挨拶したが「いかにも納税者が誤解しそうな税務署長のタイプ」という感じだった。
最後に「(挨拶に来ない後輩の部門主任審判官に対して)なぜ挨拶に来ない!と良く言っておけよ!」と自分にも言われたが、いかにも昔のおやっさんという感じだった。

(補足)
(その7)において初めて経験したときの様子をご紹介していますが、国税不服審判所は処分をした税務署に対して調査資料の検査をするために臨場し、通常は(処分当時ではなく現在の)税務署長に挨拶に伺います
税務職員の遣う隠語で、税務署長のことを「親父・おやっさん」と表現しますが、いかにもお山の大将という感じの方でした。
その事案の担当審判官は私ではなく総括審判官(定年まであと1年)でしたが、1期しか違わないにもかかわらず、総括審判官はその署長(定年予定)の言うことを「ハイッ!」と返事して聞いており、「この世代は『1期違えば虫けら同然』という言葉が生きているんだな」と思ったものです。
それにしても、国税プロパー出身者は縦社会が生きていて先輩が強く出るのはわかるのですが、私のように民間出身の外様の審判官にまで同じ調子であったのがいささか疑問でした。

肝心の調査に関しては、事件の事情を知る審査官の同期の審理専門官が対応してくれた。
原処分庁調査までは税法を知らない善良な納税者という感じで考えていたが、実際にはそうでもないようで、片方の言い分だけでは事実は見えないというところか。

(補足)
審査請求は審査請求人からの審査請求書の提出からスタートし、原処分庁からの答弁書をもって主張が1往復したことになりますが、答弁書の提出時期は審査請求時から少なくとも1か月は経過するため、その1か月間は審査請求人の主張を起点に限定された情報しか確認できないことが多いです。
そうすると、「この納税者かわいそうだな」という印象で原処分庁調査に行くとそれが裏切られることもありますし、「この納税者の気持ちはわかる」といったその逆の印象を持つこともあります。
やはり、当事者双方の主張が出そろうまでは、審判官として予断をするべきではないのでしょう。

その後、寒いなか本人の住所地とされる場所まで外観調査に行った。

(補足)
事案によっては審査請求人の拠点に足を運ぶこともあり、予告して中を拝見することもあれば、予告せずに外観調査だけして帰ることもあります。
その事案は、原処分庁である税務署管轄や国税不服審判所の管轄に影響する可能性のある納税地に関して実態を確認しておきたく、外観調査を行いました。

3.大掃除

帰ってきたら休暇簿が置いてあり、支所長が年末年始休暇に入るので、最終週である来週の休暇申請を早く書いてくれという庶務担当審査官のメッセージがわかった。
支所も本日が大掃除だが、来週から休む者が多くなるので、12月20日前後という早い時期に実施されることになっているようである。
大掃除といっても普段は審査官に掃除してもらっているし、トイレは業者のおばちゃんにしてもらっているのでそんなに大がかりなものでもない・・・と思っていたが、やってみると案外手間がかかる・・・でも2時間弱で終了。
意外にエネルギーを使ったのが支所長室の掃除機掛けで、絨毯が重いので年末なのに汗タラタラでやった。
あと、古紙を併設の税務署の廃棄書庫に移動させたが、法規集などは表紙を破った上で縛っていた。
支所長の年内が今日までということで、17時前に部門ごとに年末の挨拶をした。
このあたりは民間と違ってしっかりしている。

(補足)
年末大掃除を12月20日前後にすることも民間出身者から見た驚きの1つでしたが、理由は上記のとおりで、年末年始にまとめて休暇を取得する職員が比較的多いからのようです。
年末最終週に任意調査があると納税者も税理士も嫌がるでしょうし・・・。
法規集は毎年1人に1セットが支給され全部で10冊(積み上げると50㎝)ほどのボリュームだったと記憶していますが、中には酒税のような大方の職員には無関係のものもありました。
当時の神戸支所長は高松国税局からの出向者であり、最終週は通しで休暇を取得して地元に帰る予定でしたので、部門ごとに支所長室に入り年末の挨拶を行いましたが「上司に年末のご挨拶なんて監査法人ではありえないな~」と思っていたものです。

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