【0245】小規模宅地等の特例の変遷(その4)

1.平成6(1994)年度改正

被相続人等の事業用宅地等に、「事業と称するに至らない不動産の貸付けその他これに類する行為で相当な対価を得て継続的に行うもの」の用に供されていた宅地等が含まれることとされました。
これにより、特例の対象となる宅地等の類型は、「特定事業用宅地等(減額割合80%)」「特定同族会社事業用宅地等(減額割合80%)」「特定居住用宅地等(減額割合80%)」「国営事業用宅地等(減額割合80%)」「上記以外の小規模宅地等(減額割合50%)」の5種となり、おおむね現在の制度の枠組みになりました。

2.減額割合と未分割についての改正

まず被相続人等の事業用又は居住用の宅地等の用に供されていれば「小規模宅地等」に該当して50%の評価減が確定し、申告期限までの継続要件などを満たす宅地等については、更に80%に拡充されるという二段構えの制度設計でした。
特例の適用を受けるためには、特例の対象となる宅地等が共同相続人又は包括受遺者によって分割されていることが必要であり、相続税の申告期限から3年以内に分割されていない宅地等については、原則として特例の適用がないこととされました。
適用時期は、平成6(1994)年1月1日以後に相続又は遺贈により取得した財産に係る相続税から適用され、平成6(1994)年1月1日から同年4月1日までの間に相続又は遺贈により小規模宅地等を取得したすべての人が、平成6(1994)年度の税制改正前の本特例の適用を選択した場合には、この改正前の特例を適用することができることとされることにより、不利益を受けないような手当てがされました。

3.平成11(1999)年度改正

これまで200㎡だった「特定事業用宅地等」「特定同族会社事業用宅地等」「国営事業用宅地等」の限度面積が330㎡に拡充されました。
また、特定居住用宅地等に係る要件の「相続開始の直前において被相続人の居住の用に供していた家屋に居住していた親族がいない場合」の親族の範囲が、民法第5編第2章の規定による相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続人)とすることとされました。
平成11(1999)年1月1日以後に相続又は遺贈により取得した財産に係る相続税から適用されました。
ちなみに、平成12年(2000)年度改正で、条文が租税特別措置法の69条の3から69条の4に移動し、現在に至ります。

4.平成13(2001)年度改正

「特定事業用宅地等」「特定同族会社事業用宅地等」「国営事業用宅地等」の限度面積が400㎡に、特定居住用宅地等の限度面積が240㎡に拡充され、平成13(2001)年1月1日以後に相続又は遺贈により取得した財産に係る相続税から適用されました。

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