【0244】小規模宅地等の特例の変遷(その3)

1.昭和63(1988)年度改正

改正前は、製造業、卸売業、小売業などのいわゆる事業の用又は居住の用に供されていた宅地等のほか、事業に準ずるものの用に供されていた宅地等(不動産貸付け)も対象とされていました。
しかし、改正により、事業に準ずるものの用に供されていた宅地等(不動産貸付け)はこの特例の対象外とされましたが、特定郵便局の敷地は本特例の対象とされました。
不動産貸付けの除外は、昭和63(1988)年12月31日以後の相続又は遺贈により取得した財産に係る相続税から適用し、減額割合の引上げの改正は、昭和63(1988)年1月1日以後の相続又は遺贈により取得した財産に係る相続税から適用されました。

2.昭和63(1988)年度改正の減額割合

被相続人等の事業が、被相続人等又は国の事業(特定郵便局の用に供されているもの)に改められ、次のように特例の減額割合が引き上げられました。
❶被相続人等(又は国)の事業の用に供されていた宅地等 60%
❷被相続人等(又は国)の事業の用に供していたものと居住の用に供していたものとがある場合
事業用部分 60%
居住用部分 40%
・(減額の最低保証 50%)
❸被相続人等の居住の用に供されていた宅地等 50%

3.平成4(1992)年度改正

土地の相続税評価の適正化(地価公示価格水準の80%程度への引上げ)に伴う負担調整に際して、居住用及び事業用の特例の減額割合が次のように引き上げられました。
平成4(1992)年1月1日以後の相続又は遺贈により取得した財産に係る相続税から適用されました。
❶被相続人等(又は国)の事業の用に供されていた宅地等 70%
❷被相続人等(又は国)の事業の用に供していたものと居住の用に供していたものとがある場合
事業用部分 70%
居住用部分 50%
・(減額の最低保証 60%)
❸被相続人等の居住の用に供されていた宅地等 60%

4.考察

私は平成6(1994)年の税理士試験において相続税法科目を受験しており、その前年から学習を開始していましたので、私が当初学習していた小規模宅地等の特例は上記の平成4(1992)年改正のものであり、薄く「そうだったな」という記憶があります。
しかし、次回でご紹介する平成6(1994)年度の税制改正によって、小規模宅地等の特例は大きく変容し、また、現在の制度の原型となるような改正となりました。
税理士試験を受験していた私としては、税制改正法が施行された平成6(1994)年4月から税理士試験のある同年8月初旬までに、せっかく覚えた制度の理論暗記をやり直すという作業に見舞われました(受験生全員がそうなのですが)。

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