【0246】小規模宅地等の特例の変遷(その5)

1.平成14(2002)年度改正

特定事業用資産についての相続税の課税価格の計算の特例が創設され、その特例の適用対象となる特例対象株式等及び特例対象山林との選択制となりました。
併せて、分割済の小規模宅地等について特定事業用資産が分割されないことにより、本特例を選択できない場合における更正の請求の規定の整備等が行われました。
また、小規模宅地等の特例の適用を受ける宅地等を取得した者のほかに相続又は遺贈により特例対象株式等又は特例対象山林を取得した個人がいる場合には、その取得した個人全員の同意も併せて必要とされました。
更に、提出期限までに特例対象株式等又は特例対象山林の全部又は一部が分割されなかったことにより、本特例の適用を受けようとする特例対象宅地等の選択ができず、その特例の適用を受けていなかった場合には、提出期限から3年以内に当該特例対象株式等又は特例対象山林の全部又は一部が分割されたことにより、その選択がされることとなったときには、その選択された特例対象宅地等について相続税法第32条の規定を準用した更正の請求により本特例の適用を受けることができることとされました。
この改正は、平成14(2002)年1月1日以後に相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税から適用されました。

2.平成15(2003)年度改正

特定同族会社事業用宅地等の判定の基となる法人が「相続開始直前に被相続人及び当該被相続人の親族その他当該被相続人と特別の関係がある者が有する株式の総数又は出資の金額の合計額が当該株式又は出資に係る法人の発行済株式の総数又は出資金額の10分の5を超える法人」とされました。
この場合、「10分の5」を超えるかどうかの判定に当たっては、株式若しくは出資又は発行済株式若しくは出資金額には、議決権に制限のある株式又は出資として財務省令で定めるものは含まれないこととされました。
本特例と特定事業用資産についての相続税の課税価格の計算の特例について、一定の要件を満たす場合にはそれぞれの特例の併用が認められることとされました。
この改正は、平成15(2003)年1月1日以後に相続又は遺贈により取得した財産に係る相続税から適用されました。
ただし、株式の総数又は出資の金額の合計額が、発行済株式総数等に占める割合に係る部分(10分の5を超える法人の判定)については、平成15(2003)年4月1日以後に相続又は遺贈により取得した財産に係る相続税から適用されました。

3.平成16(2004)年度改正

被相続人である特定贈与者から相続時精算課税の適用を受けるものに係る贈与により財産を取得した個人が、特定事業用資産についての相続税の価税価格の計算の特例の適用を受けている場合には、当該被相続人に係る相続税の申告期限までに特例対象株式等又は特例対象山林の全部又は一部が分割されなかったことにより当該期限までに分割された特例対象宅地等について本特例の選択がされず、本特例の適用を受けていなかった場合であっても、当該分割された特例対象宅地等について更正の請求により本特例の適用は受けられないこととされました。
この改正は、平成16(2004)年4月1日以後に相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税から適用されました。

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