【0243】小規模宅地等の特例の変遷(その2)

1.初めての法制化

昭和58(1983)年度税制改正によって、租税特別措置法69条の3に「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」として創設されました。

2.制度の概要

個人が相続又は遺贈により財産を取得した場合において、その財産のうちに、その相続の開始の直前において被相続人等の事業の用又は居住の用に供されていた宅地等があるときは、その相続又は遺贈により財産を取得した者のすべての宅地等の200㎡までの部分のうちその個人が取得した宅地等については、相続税の課税価格に算入すべき価額は、通常の方法によって評価した金額に、次に掲げる場合の区分に応じてそれぞれ次に掲げる割合を乗じた金額を減額した金額とされました。
❶200㎡までの部分の宅地等のすべてが事業の用に供されていた宅地等である場合 40%
❷200㎡までの部分の宅地等の一部が事業の用に供されていた宅地等である場合
事業の用に供されていた宅地等 40%
居住の用に供されていた宅地等 20%
❸200㎡までの部分の宅地等のすべてが居住の用に供されていた宅地等である場合 30%
なお、上記❷の居住の用の場合において、これによって計算した金額が200㎡までの部分の宅地等の通常の方法による評価額の70%相当額を超えるときは、居住の用に供されていた宅地等については、当該70%相当額から事業の用に供されていた宅地等の通常の方法による評価額の60%相当額を控除した金額によることとされています。
つまり、全体として減額後の割合が70%を超えるときは、全体として減額後の割合が70%となるように居住の用に供されていた宅地等の価額を減額することによって調整することとされています。

3.個別通達のときの取扱いとの主な違い

「事業」に、いわゆる事業のほか、事業と称するに至らない不動産の貸付けその他これに類する行為で相当の所得を得る目的で対価を得て継続的に行われるものも含むこととされた点、被相続人の事業の用又は居住の用に供されていた宅地等のほか、被相続人の親族で被相続人と生計を一にしていたものの事業の用又は居住の用に供されていた宅地等も本特例の対象とすることができるようになった点が挙げられます。

4.適用時期

昭和58(1983)年1月1日以後の相続又は遺贈により取得した財産に係る相続税から適用されました。

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