【0035】審判所の年末風景

1.審判所の仕事納め

2019年の国税組織は実質的に12月20日で仕事納めだと思います。

例年は12月23日が天皇誕生日でしたので、22日が実質的な仕事納めになっていましたが、これからはどうなるのでしょう・・・。

確かに、23日からの週に実地調査を言い渡されても、立ち会いをする税理士はたまったものではありませんので、むしろそれが好都合かもしれません。

国税不服審判所に限っても、審判所長は12月20日が最終出勤日で、約2週間の休暇を取得されるのではないかと推察しています。

そうすると、裁決日が12月28日や1月4日になることは、まずあり得ないことがわかります。

ご本人がそういうご意向であるというよりも、事務方(管理課)がそのように仕向けるといった方が正確でしょう。

トップが出勤していると、下は休めないですから・・・。

審判部でも、12月23日からの週は部長審判官・審判官・副審判官も休み出して、だんだん歯抜けになり、御用納めである27日は管理課の若手職員か審判部の審査官くらいしか出勤していないのかもしれません。

2.方針が決められない

審判所は、審判官等の合議によって結論を出すという性格上、みんなが交代で休む(有給休暇を消化する)年末年始2~3週間は、たとえ担当審判官がひとり出勤していたとしても、方針すら決められず、実質的に開店休業状態になります。

任官1年目は、そんな状態に「なんだかなぁ」と思っていたものですが、慣れとは怖いもので、2年目からは、1年目の人(例えば、前事務年度は税務署の総務課長をされていて、休むに休めなかったプロパー職員)に「ここ(審判所)は遠慮しないで休んだら良いんですよ!」と促すようになっている自分がいました。

期間限定で国家公務員を経験し、民間に戻って考えるに、国は、「いざとなったら、堂々と客を待たせることができる」機関だったと実感しています。

それは、ライバルがいないからできることなのでしょうし、あまり良い意味で言われない「お役所仕事」の典型のような気がします。

そうといっても、国税組織全てが、そんなまったりとした年末年始かというとそうではなく、シビアな税務調査を担う部署ほど、御用納めから御用始めまでの期間すら満足に休めるかどうか微妙なほど忙しいようですし、(大規模)税務署の総務課長は、いつ何時、携帯に電話(たいがいは良くない内容の電話、納税者とのトラブルだけではなく、職員の不祥事や事故といった可能性もある)がかかってくるか落ち着かない年末年始を過ごすと聞きます。

3.所長決裁のタイミング

審判所の年末年始を思い出す出来事があります。

11月下旬に担当審判官だった私の手許を離れた事案(棄却=納税者負け)で、12月中旬に次席審判官の決裁がなされたと聞き、「年内に所長決裁と裁決書発送まで終わるだろう、やれやれ。」と思っていたところ、管理係から「既に所長室に事案を入れていますが、裁決書日付は所長の年始初出勤日、発送はその翌週になります。」と言われました。

不思議に思っていたのですが、所長の年始のある予定を見てその理由が推測できました。

税理士会の賀詞交換会に来賓で招待されていたのです。

その事案は税理士が代理人で、その代理人が賀詞交歓会に出席するか否かはわからないとはいうものの、仮にその日までに裁決書が到着していて、その代理人税理士が賀詞交歓会に出席して所長と顔を合わせる可能性があることを所長が嫌ったのか、あるいは管理課が忖度したのかわかりませんが、裁決書の発送を賀詞交換会後とし、そこから逆算で裁決日付を決めた結果、所長の年始初出勤日にしたということも考えられます。

「審判所という組織としての判断なのだからそんなこと気にしなくても」と思うのですが、当事者のいずれか一方を必ず負けさせる審判所(裁判所もそうですが)の立場の難しさを感じました。

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