【0166】併合審理と併せ審理は似て非なるもの

1.併合審理

数個の不服申立ては、通常、それぞれ別個に審理・裁決すべきものです。
しかし、それらの不服申立てが相互に関連する場合には、審理の重複、判断の抵触等を避ける必要から、むしろ併合して審理することが望ましいでしょう。
具体的には、以下のような場合が該当します。
・複数の不服申立てに係る基本的な事実関係又は証拠関係を共通にする場合
同一の処分について数人から不服申立てがされた場合
・1つの手続を構成する複数の処分について不服申立てがされた場合
本税と加算税のように牽連関係にある複数の処分について不服申立てがされた場合
併合審埋は、数個の不服申立てが同一の再調査審理庁又は審査庁に係属することが前提であり、審級を異にする場合には併合審理できません。

2.併合不服申立て

不服申立人が数個の処分についての不服を併合して申し立てることができるかについては、法律に格別の規定はありません。
しかし、共同不服申立てが認められているところからすると、これを禁止しているとは考えられず、不服申立期間及び不服申立て理由を共通にする場合には、数個の不服を併合して申し立てることができると解すべきでしょう。
しかし、この場合においても、不服申立ての趣旨において、各処分ごとに取消し変更を求める範囲を明らかにしなければなりません。

3.併合審理をした場合の決定・裁決

併合審理をした場合の再調査決定又は裁決は、それぞれの不服申立てについてしなければなりませんが、それぞれの不服申立てが同一人からされたものであるときは、便宜同一の再調査決定書・裁決書にそれぞれの主文を併記し、再調査決定又は裁決の理由の記載は共通にしても差し支えないとされています。

4 不服申立ての分離

併合審理中の事件については、1つの請求のみが再調査決定又は裁決(議決)をするのに熟したとき、その他併合して審理するのが適当でないと認められるときは、再調査審理庁又は国税不服審判所長は、併合した数個の不服申立てを分離することができます。
分離の場合には、併合中の調査、審理の結果を分離後の審理に引き継ぐ必要があるため、分離された審査請求事件の担当審判官及び参加審判官は、通常、分離前の審判官が当たるのが望ましいでしょう。

5.併せ審理

同一の国税について決定と更正がされた場合において、双方の処分について不服申立てがされているときは、上記によって併合審理ができます。
しかし、このような場合において、一方のみについて不服申立てがされているときは、併合審理をすることはできません。
そこで、このような場合に審理の範囲を拡張して不服申立てがされていない他の処分についても併せて審理をすることができる規定があります。
これは、更正と再更正の間に不可分の牽連関係があることを考慮して、2つの処分に対する判断の矛盾、抵触を避け、納税者の手数を努めて軽減しつつ、権利救済の目的を達する趣旨に出たものです。

6.併せ審理ができる場合

併せ審理は、同一の課税標準等又は税額等についてされた以下に掲げるような複数の処分のいずれか一方について不服申立てがされている場合には、不服申立てがされていない他の処分についてするものとされています。
・更正又は決定と再更正
・更正の請求の全部又は一部を認容しない処分と更正
・賦課決定(加算税及び過怠税の賦課決定を除く)と再度の賦課決定
なお、加算税の賦課決定について不服申立てがされた場合において、当該加算税の計算の基礎となった本税の更正決定等について不服申立てがされていないときは、当該本税の更正決定等については併せ審理はしないこととされています。

7.併せ審理と裁決

再調査審理庁又は国税不服審判所長は、併せ審理をする場合には、不服申立てのされた処分のほか、併せ審埋に係る処分についても、それが正当であるか否かを審理し、判断しなければなりません。
この場合、併せ審理に係る処分の全部又は一部についても取消しの必要があるときは、その再調査決定又は裁決において、その処分の全部又は一部を取り消すことができます。

以上でみたように、「併合審理」と「併せ審理」は文言としては似ていますが、それぞれ異なる意味を持つことに留意する必要があります。

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