【0165】民間出身国税審判官の或る日の日記(その43)


1.平成27年7月9日(事務年度末日)

事務年度末である・・・任官して1年が経過し、あと2年で無職となる。
A事件の求釈明期限は24日ということにして進行管理表、引継書に記載して、審理部の審査官にメールをする・・・副審判官昇任のお祝いのコメントを添えて。
そうしたら、電話がかかってきて、B事件は自分、A事件は新任の審査官が引き継ぐということになったとの連絡を受けた。
A事件の昨日の求釈明について、総括審判官の担当審判官最後の決裁を得て発送してもらう。
A事件の求釈明のA審査官によるチェックで、B審査官に小声で「(この事務年度末の時期に)求釈明ですか。」と言っていた・・・まあそう思うだろう。

2.事務年度末の1日

今日退官する民間出身審判官の成り行きを見ていると結構厳しい感じがしている。
明日から同勤になる京都支所の弁護士出身審判官に、「明日はいつ頃大阪本所に出勤しますか?」とメールしようかと思ったが止めた・・・とりあえず9時頃に出勤して、居場所がなければどこかで暇をつぶそう。
A審査官が昨日、新しい部署の引継を受けてきたが、室長が癖のある入らしく、「・・・」という昔ながらの国税の上役という感じのようで、「あんなに強烈なのか。ここの方が良かったかも。」と言っていたって、あれだけ異動したいと言っていたじゃないか。
それでも、部下は合わせて行かなければならないのだから大変だ。
A審査官は既に権限解除になっているため、明日から庶務担当となるB審査官が早速e-Taxのチェックをしている。
どこかの税務署で異議申立てのe-Taxの受付に気づかずに放置していた事案があったらしい。
事件引継書を印刷して押印する。
新年度の事件進行表を見ると、自分の後任となる弁護士出身審判官が、自分が担当していたA事件・B事件はともかく、今日で退官する2部門の弁護士出身審判官のD事件まで担当になっている・・・ただ、D事件の参加審判官は2部門の合議体2名となるようだ。
昨日も新件が出たことから、しょうがないのかもしれないが・・・。
兵庫税務署の見慣れない職員が支所の入口から入ってきたので何かな?と思ったら、異動速報を主任審判官と副審判官に渡して帰って行ったが、「こんなの全然興味ないで~。」とA審査官にポイと渡していた。
改めて明日からの大阪本所2部の配席を見ると。合議体8人は変わりなく(審判官△1・副審判官+1)、審査官が△1になるようだ。
審理部の副審判官から、副審判官が担当していたE事件をいつ決裁したら良いかについて副審判官に照会の電話があり、神戸支所の事件引継ぎなどについても話していた。
E事件については、誰があのおじいちゃんの電話対応をするか、ということなのだが。
大阪本所管理課の係長から総括審判官に電話があり、21日に所長、次席、管理課長が視察に来るそうであるが、午後から本所で大阪本所1部の打ち合わせらしいので、お昼は摂らない可能性が高いのではないかということである。
事件ファイルの整理をしており、電話録取書の差し込みや結果的に日の日を見なかった資料などを外したりしている。
A審査官から、出勤簿のために預けていた印鑑の返却を受けるが、本所でまた預けることになるのだろうか。
段ボールに荷物を入れてみたが、なんとか入った・・・でもかなり重い。
副審判官の様子を見かねたA審査官が、「13時から14時までに所定の場所に持って行かないといけないのですが。」と言ったところ。「マジかよ~。」とビックリしていた。
A審査官が、休暇簿の転送などの決裁を受けていた。
支所長が握っていた税務雑誌が返却されたが、「今更回覧しても・・・」という感じである。
副審判官が、課税1部の人らしき人からの電話を置いたあと、A審査官に「・・・だって。」と小声で言ったが、異動後に調査を担当する会社だろう。
会計係から連絡があり、去年転任者に交付したスペアのIDカードの1つが返却されていないということで、自分も被疑者になったが、自分は本所で研修のときに総務係の主任から現在のIDカードと引き換えに渡した記憶がある。
副審判官が、B審査官に対して「税務大学校などの研修資料は持ち出しができないので明日にでもシュレッダーして貰える?自分は荷造りを急がないといけないので。」と頼んでいた。
A審査官が大阪本所に対して、大阪本所に異動になる主任審判官と自分のネーム判を発送している。
最後のランチは支所長の希望でいつものお店になった。
帰りに副審判官がフリーペーパーをピックアップして、B審査官に「7月15日の顔合わせ会の予約のために。」と渡していた。
大阪本所に発送する段ボールをA審査官に引き渡していたら、13時前に今日で退官する弁護士出身審判官が退職辞令と菓子折りを携えて帰ってきたが、数分で帰った・・・17時までは職務専念義務があるのではないか?
その弁護士出身審判官にもIDカードの嫌疑がかけられたが身に覚えがないようだ。
「支所長の荷物を入れるための段ボールを」とA審査官に指示があり、B審査官と2人で段ボールのガムテープで2箱くらい作っていた。
13時15分から支所長、総括審判官が兵庫税務署長に離任挨拶に行ったが、30分も喋っていたようだ。
唯一ヤクルトを買っていた副審判官がおばさんに「今日で異動なんです。」と告白した。
今まで集めたジョアの応募シールで何かを応募しようとしているが、A審査官に「切手を売ってくれる?」と無理なお願いをしている。
今日もシュレッダーがフル回転していて、来週の掃除のおばさんはびっくりするだろう。
A審査官も今までのファイルをバインダーから外して処分しているが数十センチもある。
弁護士出身審判官の菓子折が16個入りで、1人2つにすると足らず、1つにすると余り7ということで、「甘党だったですよね?」とばかりに自分の分と含めて8個をA審査官から貰う。
フォルダに局幹部と署長の一覧表があった。
署長名簿を見ると、やはりラストの普通科34期が多い(24署/83署)が、普通科40期もちらほらある・・・これが、最も出世の早いパターンなのだろう。
明日は管理課から特に連絡はないものの、10分前には大阪本所の審議室に控えるようにという指示が総括審判官からある。
16時50分過ぎに、退官した弁護士出身審判官以外の全員が支所長室に入り、総括審判官が代表して最後の挨拶をした。
支所長は、「後任は総括審判官だから大丈夫」と言っていたが、審判所経験が7年もあるのだからそりゃそうだろう。
最後に、パソコンのゴミ箱の中身を消したこと、鍵を残したこと、私物を置いていないことを確認して電源を切る。
明日は、異動のない2部門の副審判官とB審査官は異動なしなので会えないため、また、一般官職であるA審査官は辞令交付の時間が違うため、挨拶してから支所を出る。

3.民間出身審判官1年目を終えて

1年が経過した、神戸まで通った、公務員を経験した、人間関係が面白くかつ苦労した。
でも、監査法人・税理士法人トーマツのままよりは、ワークライフバランスを含めてよほど充実し、税理士でもなかなか経験できない職務に従事しているという張り合いはあった。
給与に見合う仕事はできていないが、それほど恵まれていたということだろう。
明日からは大阪本所で、扱う事件も大きくなるだろうし、また新たな人間関係で苦労するかもしれないが、何とかやっていこうと思う。

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