【0181】国税通則法87条が要求する審査請求書の記載事項

1.国税通則法87条の規定

(審査請求書の記載事項等)
第八十七条 審査請求は、政令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した書面を提出してしなければならない。
一 審査請求に係る処分の内容
二 審査請求に係る処分があつたことを知つた年月日(当該処分に係る通知を受けた場合にはその通知を受けた年月日とし、再調査の請求についての決定を経た後の処分について審査請求をする場合には再調査決定書の謄本の送達を受けた年月日とする。)
三 審査請求の趣旨及び理由
四 審査請求の年月日
2 前項の書面(以下この款において「審査請求書」という。)には、同項に規定する事項のほか、次の各号に掲げる場合においては、当該各号に定める事項を記載しなければならない。
一 第七十五条第四項第一号(国税に関する処分についての不服申立て)の規定により再調査の請求についての決定を経ないで審査請求をする場合 再調査の請求をした年月日
二 第七十五条第四項第二号の規定により再調査の請求についての決定を経ないで審査請求をする場合 同号に規定する正当な理由
三 第七十七条第一項から第三項まで(不服申立期間)に規定する期間の経過後において審査請求をする場合 これらの各項のただし書に規定する正当な理由
3 第一項第三号に規定する趣旨は、処分の取消し又は変更を求める範囲を明らかにするように記載するものとし、同号に規定する理由においては、処分に係る通知書その他の書面により通知されている処分の理由に対する審査請求人の主張が明らかにされていなければならないものとする。

2.書面主義の採用

審査請求を提起するに当たっては、審査請求書を提出してしなければなりません。
行政不服審査法は、書面を提出してすることを原則とし、法律に別段の定めがある場合には口頭による不服申立てを認めていますが、国税に関する法律に基づく処分に係る不服申立てにあっては、口頭による不服申立てを認めていません。
これは、不服申立ての内容を明確にし、処理の促進をはかるとともに、当該処分の大量的性格とその技術的性格から来る複雑な事務に対応し得る観点から書面主義が採用されているものといえます。

3.具体的記載事項

⑴ 審査請求に係る処分の内容
審査請求の対象となる国税に関する法律に基づく処分を特定するためであり、例えば、処分庁、処分の日付、処分の名称を典型として、審査請求人が当該処分の名宛人以外の者である場合には、処分の名宛人を、また、当該処分が再調査決定により取消し又は変更されたものであるときは、その旨を記載することになります。
⑵ 処分があつたことを知つた日
国税不服審判所長が審査請求が適法な期間内にされたかどうかを判定するための資料となるものであり、
❶再調査決定を経た後に審査請求をする場合にあっては、再調査決定書謄本の送達を受けた年月日
❷再調査の請求を経ることなく、始審的に審査請求をする場合にあっては、原処分に係る通知を受けた年月日
❸原処分に係る通知を受けていないときは、原処分があつたことを知つた年月日
をそれぞれ記載する必要があります。
⑶ 審査請求の趣旨及び理由
審査請求の趣旨は、審査請求の結論として請求について審判を求める趣旨の簡潔な表示をいい、審査請求の理由は、審査請求をする根拠を意味します。
これらの記載の仕方については、第3項に規定されており、審査請求の趣旨は、原処分の取消し又は変更を求める範囲を明らかにするよう記載するものとし、これにより審査請求の結論を具体的に記載することが要請されます。
また、審査請求の理由は、既に書面により通知されている原処分の理由に対する審査請求人の主張は明らかに記載するものとし、これにより原処分のどの部分に、いかなる不服があるのかを十分主張することが要請されます。
このことを可能ならしめる前提として、審査請求をしようとする者は、審査請求に先立って原処分の理由を知ることができなければなりません。
なお、この趣旨及び理由の記載に関する規定の趣旨について、審査の対象は当該課税処分そのものであり、請求人の不服申立ての理由が原則として裁決庁を何ら拘束し得ないものである以上、当該記載内容がたとえ不十分・不明確であったとしても、一応審査請求の必要的記載事項が記載されており記載を欠缺する場合と同視し得ない限りは、その不十分・不明確な記載をもって審査請求が不適法となると解すべきではないため、この規定は飽くまで注意的な訓示規定とされています。
⑷ 審査請求の年月日
審査請求が適法な期間内にされたかどうかを判断するときの1つの資料にするためです。

4.特別な場合の審査請求書の記載事項

審査請求書には、以下に該当する場合には、それぞれ、次の事項を記載しなければなりませんが、⑶のいわゆる期限徒過となった場合の正当な理由について論点になることが多いです。
⑴ 再調査の請求をした日(不備の補正を求められた場合には、その不備の補正をした日)の翌日から起算して3月を経過しても再調査の請求についての決定がないとして、その決定を経ないで審査請求をする場合 再調査の請求をした日
⑵ 再調査の請求についての決定を経ないことについて正当な理由があるとして、その決定を経ないで審査請求をする場合 その正当な理由
⑶ 不服申立期間の経過後に正当な理由があるとして審査請求をする場合 その正当な理由

5.審査請求書の添付書類

審査請求人は、審査請求が課税標準等又は税額等の計数的な事項を焦点とするものである場合には、その趣旨及び理由を計数的に説明する資料を添付することにつき、国税通則法施行令第32条第1項は以下のとおり規定しています。

国税に関する法律に基づく処分について審査請求をしようとする者は、(略)審査請求書に、(略)趣旨及び理由を計数的に説明する資料を添付するように努めなければならない。

ここにいう「計数的に説明する資料」とは、典型的なものは、審査請求人の主張する所得を示す収支計算書などでしょう。
この収支計算書などの計数説明資料は、審査請求人の審査請求書による主張を補完する性格を持つと解される点で、証拠書類とは異なった評価がなされることになります。
また、この種の計数説明資料は、通常、収支関係を明らかにする帳簿書類の備付及び記録があってはじめて作成が可能となるものですので、その帳簿書類の備付及び記録のない者にとっては、計数説明資料の作成が困難である場合も考えられます。
政令は「努めなければならない」と規定し、いわば努力義務であることを明らかにしていますが、その趣旨は、前記のとおり作成が困難な場合があることを顧慮したものであり、権利救済の趣旨に鑑みれば、計数説明資料の添付がなくても、それを理由に却下することはできないとされています。

税務判断なら当事務所へ
お気軽にお問い合わせください