【0180】不服申立てにおける参加人

1.不服申立てにおける利害関係人

不服申立てにおける利害関係人とは、不服申立人以外の者であって、不服申立てに係る処分の根拠となる法令に照らし、当該処分につき利害関係を有するものと認められる者をいい、例えば、滞納者から公売処分取消しの不服申立てがされた場合の公売財産の買受人のように、不服申立人と利害の相反する者で当該処分の取消しによって法律上の不利益を被る者又は共同不服申立人となり得る立場にありながら、自らは不服申立てをしなかった者がこれに当たります。
また、利害関係人は、不服申立ての決定又は裁決の結果につき法律上の利害関係を有する者であることを要するため、単に迷惑を被ったこと又は経済的な損害を受けたことを理由とする感情上又は事実上の利害関係を有するにすぎない者はこれに当たりません。
したがって、例えば、不服申立人と共同出資をして事業を行っている者は、その共同事業に関して課された源泉徴収に係る所得税にあっては、これを連帯して納付すべき義務を負うため、自ら不服申立人になるほか参加人にもなり得ますが、その事業から生ずる所得に対する所得税にあっては、その分配割合に応じてそれぞれ別個の納税義務を負い、共同事業者間に法律上の利益関係があるとはいえないため、参加人とはなり得ません。

2.参加の要件

利害関係人が参加人となる場合の1つは、利害関係人から申し出て、国税不服審判所長等の許可を得て参加人となる場合です。
この許可は、不服申立ての結果により自己の権利が害されることとなる場合には与えられるべきでしょう。
その処分により、自己の権利を侵害された者は共同不服申立人にもなれるし、他の者が不服申立てをしているときは参加人にもなれると解され、利害関係人が参加の申立てをするに当たっては、不服申立人の承諾は必要としません。
なお、利害関係人から参加の許可の申請があった場合には、利害関係人であれば許可されるべきでしょうが、当該参加の許可の申請が多人数によるものであっていたずらに審理の遅延を来たすおそれがあるなど支障があると認められるときは、許可しないものとして取り扱われます。

3.参加の取消し等

再調査審理庁又は国税不服審判所長若しくは国税庁長官が、参加の許可等をした後において、当該参加人が利害関係人でなくなったとき、又は著しく審理に支障があると認められるときは、当該参加の許可等を取り消すものとされています。
なお、不服申立人が、不服申立てを取り下げたとき(取下げについては参加人の同意は要しません)は、参加人は当然にその地位を失います。
また、不服申立人が死亡した場合には、参加人は引き続きその地位にとどまりますが、参加人が死亡した場合には、参加の効力は当然に消滅することとなるため、その相続人については、改めて参加の許可の申請を待って許可されるか、又は必要に応じて参加を求める必要があります。

4.再調査の請求と審査請求における参加人

再調査の請求における参加人は、当然に審査請求における参加人となり得るものではないため、改めて審判所長の参加の許可等を得た上でなければ、審査請求における参加人となることはできません。

5.職権による参加要求

国税不服審判所長等は、必要があると認める場合には、利害関係人に対し、参加人としてその不服申立てに参加することを求めることができます。
国税不服審判所長等が、利害関係人に対し不服申立てに参加することを求めた場合には、当該利害関係人はその諾否にかかわらず参加人となります。

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