【0100】民間出身国税審判官の或る日の日記(その6)

1.平成26年9月19日

大阪本所で本部管理室長面談を受ける。
副審判官との人間関係については、「向こうは年下の上席者に慣れているはずなので気にしないで良いと思う。」と言われた。
「慣れてほしいけど、染まらないでほしい。」と今回も言われた。

(補足)
本部の幹部が事務視察のために支部(各地域審判所)を回りますが、国税庁キャリア官僚である本部管理室長は民間出身国税審判官と個別面談して、業務上で困っていることや異動希望などをヒアリングするのが通例でした。
平成26事務年度の管理室長は過去に関東信越国税不服審判所の国税審判官を経験しており、その当時の自らの経験をお話してくださいました。
詳しくは、「【0003】染まらないでほしい(https://www.trusty-board.jp/blog/1318/)」をご参照ください。

2.初めての議決説明会

その後、所長室でA事件の議決説明会に参加審判官の立場で出席した。
担当審判官である総括審判官が家庭の事情で急遽欠席となったため、「どうしよう、何かしゃべらないと合議体としては事件主担者である副審判官しか発言しないことになる」と不安になる。

(補足)
当時の大阪国税不服審判所は、審判部の合議体(担当審判官1名と参加審判官2名)で裁決書案である議決書を取りまとめた後に、その議決内容を審判所長に報告することになっていました(現在は議決する前又は審理手続を終結する前に報告しているようです)。
通常は担当審判官(事件主担者を置いている事案は事件主担者)が所長の目の前に座り、議決書の説明を行うというならわしでした。
その事案は、担当審判官が総括審判官、参加審判官(事件主担者)が副審判官、参加審判官が私でしたが、参加審判官は議論をリードする(所長や次席審判官などの幹部の質問に直接対応する)立場ではなく、また、議決説明会は初めての事案でしたので、見学のつもりで気軽に考えていたのですが、担当審判官が欠席するとなると合議体は副審判官と私の2名となり、私に対する的(質問の機会)も大きくなってしまうため、俄然不安になったものでした。

3.原処分庁関係者が排除される

副審判官が事件の概要を説明し終わり質疑に入ろうとしたところ、審理部の総括審判官が口火を切ったが、その総括審判官はその事件の原処分をした当時の署長であり、それを聞いた所長が「当事者のうちの一方の利害関係者が審理に加わることになるため、この説明会については退席してもらった方が良いのではないか?」と発言し途中退席することになり、審判部の担当審判官と審理部の審判官の双方ともいないという異常事態となった。

(補足)
法規審査を取り扱う審理部からは税目別の国税審判官と事案ごとに氏名される審査官が出席して意見を述べることになっていました。
また、その後は、法規審査担当の裁判官出身の国税審判官や管理課長も出席するのが慣例となりました。
国税プロパーの国税審判官は小規模税務署の税務署長を終えて国税不服審判所に出向することが多く、この事案はたまたま、自分が原処分をした事案が不服申立てに移行し、国税不服審判所でその事案の審理に関与することになりました。
しかし、公認会計士監査で外観的独立性が重要視されるように、「自らが不利益処分し、その後にその処分が妥当であったか否かを公平に審理することができるのか」という意見があることはもっともなことで、その懸念を審判所長が持たれたのだろうと思われます。
退席させられた総括審判官は、私の退官後「担当審判官が不在で、自分がこの事案の経緯を良く知っているので、口火を切って所長にお知らせするつもりで言っただけなのに・・・」と苦笑いしてお話してくださいました。

所長から「大橋さんは、初めての議決書の署名でしたか?」と言われた。
今回は参加審判官としての出席であったが、担当審判官(事件主担者)として参加したら極度に緊張するのかもしれない。

(補足)
議決書には、担当審判官・参加審判官が末尾に署名押印することになっており、特に最初の署名は緊張したものです。
しかし、議決は合議体の過半数の意見によって決せられるにもかかわらず、議決書(・裁決決議書)に各審判官の賛否及び個別意見を記載する欄がなかったことを不思議に思ったものでした。

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