【0071】税務大学校寮の掟

1.税務大学校和光校舎

国税不服審判所に赴任すると、例年7月下旬から8月上旬にかけて「審判実務研修」という宿泊研修に参加することになります。

民間出身の国税審判官はもちろん、国税プロパー出身者にとっても、「裁く」という職務経験はほとんどしておらず、例年120名程度の者が対象になるようです。

私が任官された平成26事務年度については、7月30日(水)から8月6日(水)までの土日を除く6日間につき、税務大学校和光校舎の階段教室(大教室)で実施されました。

税務大学校和光校舎は、新型コロナウイルス感染症で中華人民共和国から帰国した者等が一時的に隔離されて過ごされていた施設の1つあり、そのニュースにおいて寮の間取りを見た時には、「自分が宿泊した寮と同じだ」と思ったものです。

研修内容については、別の機会にご案内するとして、今回は、税務大学校の入寮関係について思ったことなどをご案内します。

2.入寮手続

税務大学校における宿泊研修は、「短期研修」と「長期研修」があり、前者は審判実務研修等の特殊な職務に初めて就いた者を対象とした研修、後者は高卒程度(普通科)で1年間、大卒程度(国税専門官)で3か月間教育を受ける研修が挙げられます。

そのいずれも、入寮・退寮の手続があるのですが、まずもって、入寮は開校日の前日の午後2時から4時の間と決まっています。

民間企業で短期の宿泊研修がある場合には、入寮は初日の夕方というケースが多いと思いますが、税務大学校は「前泊」が原則です。

入寮時には、印鑑(シャチハタは不可)の他に「身上書」という、ホテルにおける宿帳のような書類を提出します。

3.寮の不自由

寮は個室だったのですが、寮であるが故にビジネスホテルであればあるはずのものがありません。

例えば、バスマットや歯磨きセットはなく、後者については売店で購入することになります。

そして、各部屋にテレビはなく、各階に1室ある談話室に1台あるのみです。

更に、冷暖房の使用可能期間が決まっており、7月下旬という時期であるにもかかわらず、午後5時にならなければスイッチを押しても稼働しませんでした。

通常は、昼間は研修中で不在ということなのでしょうが、昼休みに一時戻るときは辛いものがありました。

門限は午後11時であり、講義後に和光駅近くの飲食店に居ても、バスかタクシーの分乗によってその時間までに帰寮しなくてはなりません。

4.各種の当番

勉強をすることが職務である機関であり、原則として8時30分から17時まで講義がありますが、各種当番が日単位で有無を言わさず任命される仕組みであり、私が受講した時には以下の当番がありました。

教室当番
マイク電源や音量の事前調整、講師用水差しやおしぼりの手配、チョークや黒板拭きの整備、消灯・戸締り。
号令当番
毎校時の「起立・礼・着席」の号令。
外部講師の場合には「起立と礼の間に研修係担当者が講師紹介を行うためタイミングに留意」という注意事項まであります。
清掃当番
使用教室の清掃とゴミ袋の交換

ちなみに、私は研修4日目の8月4日(月)に教室当番が当たっており、何十年ぶりに「日直」の気分を味わいながら、「(小規模税務署署長格である)国税審判官に当番を当てるなよ・・・」と思っていました。

梅雨明けの猛暑、しかも、日本で最も暑い地域であり、自動給水機のペダルをどんなに長い時間踏んでもお湯しか出ず、「どうせどの講師も手を付けないだろう(その方が冷えるから)」と、毎校時に交換することになっていた講師用水差しを敢えて交換しませんでした。

5.退寮時の関門

最終日には、ある関門が待ち構えています。

あくまで寮ですので、講義中に部屋がベッドメイクされていることはあり得ず、最終日の講義開始前に部屋の掃除をしなければなりません。

そして、講義開始後に庁舎管理係が清掃状況をチェックし、十分でない場合には昼休み中に名前が張り出され、退寮・帰宅の世話しない時間帯に清掃のやり直しをしなければならないことになります。

特に水回りが重要だそうで、私の隣の国税プロパー職員はやり直しが命じられていましたが、その方は水回り(風呂・洗面・トイレ)に軒並みチェックがついていました。

社会人を20年近く経験した段階で、そういった入寮生活を送ることは新鮮でもあり、また、いささか苦痛でもありましたが、まさに国税職員と寝食を共にするという点では面白い機会であったと思っています。

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