【0070】税務相談室の裏の機能

1.税務相談官のイメージ

東京・大阪・名古屋・関東信越の各国税局には総務部に税務相談室があります。

例えば、税務研究会の東京局の職員録を見ていただくと機構がわかりやすいですが、班編成になっており、約30もの各班は主任相談官をトップに4~5名の体制になっているようです。

税務相談官にどのようなイメージを持たれるでしょうか。

「ベテラン」「税法博士」「審理に強そう」といったところで、大方そのとおりですが、そういった者のみが選抜されて相談室に異動になっているのではありません。

2.「待機ポスト」と「島流し」

相談室は、数名増えても減ってもたちまち全体が困らない部署です。

その性格から、上のポストに枠がない場合に、いわゆる「待機ポスト」になるケースがあります。

また、代替性のあるポスト(一定の能力経験があれば、職員の個性に関係なく務まるポスト)のため、休職するほどではない持病がある職員が異動されてくるケースもあります。

そして・・・特に定期人事異動時期外に相談室に行く異動が発令されると、税務職員は、「何だ?何か事件を起こしたか?」という興味をもって異動情報を確認し、職員録でその職員がもともと在籍していた部署を探し始めます。

例えば、セクハラ、パワハラ、事務処理不適切といった不祥事を引き起こした場合に、相談室に「島流し」になるケースがあります。

また、課税・徴収のシビアな現場で納税者対応をするには難がある(納税者とトラブルを起こす・メンタルが弱い)職員も相談室に異動されやすいです。

納税者は、「ベテラン」「税法博士」「審理に強そう」のイメージで相談室を頼ってくるのですが、国税内部のイメージは「吹き溜まり」といった側面は否定できません。

3.「禊」の機能

相談室には、もう一つの裏の機能があり、それは、国税不服審判所にも関係があります。

同じ地域管轄で、税務署長と審判官を直接行き来することはできません。

審判所は判断者(天秤の真ん中)であるのに対して、税務署は天秤の一方当事者ですので、前事務年度に税務署長として課税処分を執行していた者が、今事務年度にその事案の審査請求の担当審判官や上司の部長審判官として、課税処分を取り消すか否かの審理に携わっても、納税者からの信頼は得られません。

どうしても税務署長と審判官を直接行き来させたい場合は、地域管轄を跨ぐことになり、例えば、「大阪審判所の(部長)審判官→東京審判所の(部長)審判官→大阪局の税務署長」といった人事が行われます。

しかし、同じ地域管轄で異動させたい場合に相談官を噛ませる人事が行われ、例えば、大阪管内で、「(副)審判官→(主任)相談官→税務署長」といったイメージになります。

4.相談室の回答を鵜呑みにできるか

私のような外様職員でも3年もいれば人事のパターンがわかってきますので、「定年まであと2年で、現在は大阪の審判官」であるプロパー職員であれば、「来年は『大阪以外の部長審判官若しくは税務署長』か『大阪の主任相談官』ですかね?」とその職員に囁けるようになり、ご本人も「当然ですわ」という意味でニヤッとされます。

それは、「管内(できれば住所地に近接したところ)の税務署長で定年を迎える」という出世すごろくから逆算して幹部の人事が決まるからです。

そう考えると、税務相談官を「税法博士・審理に精通する職員」と一律に考えられず、単に「ポスト」として相談室にいるだけというケースもままみられるため、「相談室に電話してこういう回答を受けたから」という理由でその回答内容を信頼したとしても、後で痛い目に遭うかもしれないというリスクがあるのです。

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