【0227】口頭意見陳述の留意点(その9)

1.口頭意見陳述の事前準備

口頭意見陳述は、申立人の意見陳述及び申立人の質問とこれに対する原処分庁の回答という行為が主体となりますが、申立人がこの場において主張の変更等や従来の主張と矛盾する意見の陳述をする場合もあり得ますので、担当審判官は、口頭意見陳述に先立ち、これまでの審理関係人の主張を十分に吟味、整理しておくことが不可欠でしょう。
また、参加審判官は、担当審判官とともに口頭意見陳述の場に臨み、申立人の質問の許可、申立人の陳述の制限を行う場合もあることから、「自分の事件ではないから」と思うことなく事件の内容を積極的に把握しておくことが望まれます。
口頭意見陳述は、特に口頭で意見を陳述し、原処分庁に質問したいという申立人の申立てを受けて実施される手続ですから、同席主張説明や審理手続の申立てに関する意見の聴取の場合と比べて、申立人から、原処分調査の際の不満だけでなく、担当審判官に対しても、調査審理の進め方等について、不満を含めた申立てがされることも想定されます。
このため、担当審判官は、口頭意見陳述の当日、申立人が口頭意見陳述の場で予定された以外の陳述を行った場合にも適切に対応することができるよう、事前に十分な準備を行う必要があるでしょう。

2.口頭意見陳述の会場設営

審理関係人が一堂に会する場合には、口頭意見陳述の会場の配置は、原則として、担当審判官に対して両者の審理関係人が向き合う形でレイアウトされます。
具体的には、「鈍角二等辺三角形」をイメージいただき、鈍角を挟む二辺が「申立人側」と「原処分庁側」であり、それぞれが長辺にいる合議体の方を向いている(質問の場合のみ申立人側が原処分庁側を見る)というレイアウトになります。
訴訟における法廷では、原告・被告の両当事者が正面に向き合っているレイアウトになっていますが、審査請求はお互いが合議体方向に向いているところに、完全な対審構造ではなく、弁論主義でもない特徴が顕れているように思われます。
担当審判官及び分担者(担当審判官の命により調査審理に従事する国税審査官)は、口頭意見陳述の出席者の数に応じ、十分な広さや機密性のある会場の確保に努めるほか、参加人がある場合、特に、参加人が申立人である場合には、参加人の立場(請求人と利害関係が一致するか否か)などにより、配席を工夫しています。
なお、口頭意見陳述を請求人又は参加人の一方とのみ行う場合(原処分庁を招集しない場合)には、審判所と請求人又は参加人が対面する方式で行うことになります。
また、事件の属性によっては、秩序維持の必要性が生じた場合の対応(庁舎管理者(庁舎外で実施している場合には当該施設の管理者) との連携)について検討する必要があるかもしれません。

3.出席者の確認

担当審判官は、下記の点に留意しつつ、出席者に対して、当該出席者が審理関係人及び補佐人であることについて確認を行います。
まず、原処分庁の職員が出席する場合には、原処分庁の作成による当該職員の所属及び氏名を記載した「出席届出書」を提出させて確認することになります。
次に、事前に申請のない補佐人が出席する場合には、申請の手続をとらせた上で、速やかに許否について判断し、申立人に対し補佐人帯同の許否を口頭で伝えるといった対応を執ることになります。
また、担当審判官は、申立人の精神的・身体的状況から判断し、介助者が必要であると認める場合には、介助者の身分確認を行い、申立人の口頭の同意を得た上で、口頭意見陳述の場に介助者を立ち会わせることができます。
この場合、担当審判官は、介助者に対し、外部へ情報を一切漏らしてはならないこと及び補佐人でない介助者は事件に関して発言その他一切の行為を行うことはできないことを説明することになります。
なお、担当審判官は、申立人の同意を得たこと(又は申立人から申出があったこと)及び介助者に対して外部へ情報を一切漏らしてはならないことを説明した旨を記載した「調査事績書」を作成して、事後の検証可能性を確保しておく必要があります。
ここで、補佐人でない介助者が、口頭意見陳述の際に発言等をすることができないことは当然であるとしても、担当審判官や原処分庁に所属する職員に課せられた守秘義務の観点から、担当審判官は、介助者について申立人との関係を確認し、必要に応じて、補佐人としての手続を行わせることも検討することになるでしょう。
更に、総代が選任された場合、総代以外の共同審査請求人は、総代を通じてのみ審査請求に関する行為をすることができますので、当該共同審査請求人は口頭意見陳述において発言することができません。
ただし、当該共同審査請求人が口頭意見陳述の傍聴を希望する場合には、担当審判官の判断により、その傍聴を認めることとして差し支えないとされています。

4.具体的な確認方法

原処分庁の職員が出席する場合には、原処分庁の作成による(原処分庁の押印がある)当該職員の所属及び氏名を記載した「出席届出書」の提出を受けて、これを確認することになります。
次に、請求人側で、補佐人や介助者、請求人が法人である場合の代表者以外の役員又は使用人が出席する場合には、担当審判官は、必要に応じて、身分証明書や運転免許証等の提示を求めるなど、出席した者が、口頭意見陳述に出席することの許可を受けた本人であることの確認を行うことになります。
また、総代以外の共同審査請求人が傍聴する場合には、担当審判官は、その旨を出席者に紹介するとともに、傍聴者が総代以外の共同審査請求人であることの確認を行うことになります。
なお、傍聴者は、申立人の陳述等に関し、自らが発言等をすることができないことを説明することになります。

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