【0215】徴収事件の不服申立て(行政処分性)

1.審査請求の適法性

徴収事件については、他の税目よりも審査請求の適法性が問題となるケースが多く、却下になる割合が全体の約4割近くを占めています。
審査請求が適法なものであるためには、下記の要件を満たす必要があり、これらの要件が一つでも欠けている場合、その審査請求は不適法なものとして却下することとなります。

❶取消しを求める行政庁の行為が行政処分性を有していること
❷請求人に不服申立適格があること
❸狭義の審査請求の利益があること
❹適法な不服申立期間内に不服申立てがされていること

課税事件の場合、課税処分の種類は限定されているため、行政処分性が問題となるケースはまずなく、また、処分の名宛人以外の者に不服申立適格が認められるケースはないといって良いでしょう。
しかし、徴収事件では、処分性が問題になったり、処分の名宛人以外の者にも不服申立適格が認められる場合があるなど、形式審査に関する検討が必要な場合が多いです。

2.行政処分性

行政庁は、行政目的を達成するために様々な行為を行いますが、行政庁のしたある行為に不服があっても、不服申立てによって取消しを求めようとする行為に行政処分性がなければ、取消しの対象となりません。
このことは、国税の徴収手続においても同様であり、国税債権の確保のために、徴収職員は、納付の慫慂や差押え、換価、第二次納税義務の納付告知など、様々な行為を行いますが、その行為に行政処分性が認められなければ、不服申立てによってその行為の取消しを求めることができません。
行政処分性を有する行為とは、公権力の主体たる国又は公共団体が行う行為のうち、その行為によって、直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているものをいいます。
このように、 行政処分性を有する行為とは、その行為によって直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定するものであり、それによって、国民の法律上の地位に変動を与えるものですから、その行為によって国民の法律上の地位が変動するか否かの観点から、行政処分性の有無が判断されることになるでしょう。
国税の徴収に関する行為についても、それが不服申立ての対象となる処分に当たるか否かについては、上記に留意して判断する必要があるでしょうが、具体的事例の中には行政処分性を有するか否かの判断が難しい場合があるように思います。

3.行政処分性を有すると考えられるもの

差押えや差押財産の公売公告・売却決定、第二次納税義務の納付告知処分、納税の猶予不許可処分等に行政処分性が認められることについては異論はないと考えられますが、国税の徴収に関する行為のうち、これまで行政処分性の有無が問題となったもので、判決において行政処分性を有するとされたものとしては、❶督促、❷還付金の充当、❸公売における最高価申込者の決定があるようです。
なお、❹換価代金等の配当については、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるか否かについては議論があるようですが、国税徴収法171条1項4号が換価代金等の配当について不服申立期間の特例を定めている趣旨に照らせば、行政処分性を認めるのが相当であるようにも思います。
また、国税不服審判所においては、❺交付要求(破産管財人に対するものを除く)、❻委託売却による売却通知、❼交付要求に基づき受領した配当金等の充当は、行政処分性を有するとの取扱いをしています。

4.行政処分性が認められないもの

一方、行政処分性が認められないものとしては、❶延滞税の通知、❷公売通知、❸公売の変更公告、❹破産管財人に対する交付要求、❺委託納付、 ❻納付書の送付、❼窓口事務、納税申告書の受理、❽還付金等の還付、❾予定納税額の通知があるとされています。

なお、見積価額の決定及び公告については、行政処分性を認める裁判例もあるようですが、国税不服審判所においては、行政処分性は認められないとの取扱いをしています。

5.見積価額の決定及び公告の行政処分性について

見積価額は、公売財産の最低売却価額としての性質を有し、公売財産の買受希望者にとっては、 見積価額以上の価額で入札しなければ落札できないこととなります。
しかし、買受希望者に見積価額より低い価額で落札できる権利は無いため、買受希望者の権利を侵害するものであるとか、その範囲を確定するものとはいえず、買受希望者に対して、新たに何らかの義務を課すものともその範囲を確定するものともいえないでしょう。
また、公売財産の所有者についてみると、公売財産が適正な価額よりも低い価額で売却された場合には、財産権の侵害となり得ますが、見積価額それ自体は、見積価額以上の価額でなければ売却されないことを保証するものにすぎません。
そうすると、公売財産の所有者の権利を制限し、あるいは、公売財産の所有者に対して、新たに何らかの義務を課すものと解することまではできないでしょう。
したがって、見積価額の決定及び公告については、行政処分性は認められないと解されているようです。

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