【0199】国税不服審判所の研修体系(その2)

1.支部研修

前回(【0198】国税不服審判所の研修体系(その1))に引き続き、課税庁から大阪国税不服審判所に赴任した国税プロパー職員(又は民間から任官した任期付審判官)が初年度に受けるべき研修体系をご紹介します。
9月頃に丸1日をかけて行われる支部研修は、新任者のみならず審判所2年目以降の職員も含めて行われます。
基本的には留守番を除く全員が受講するもので、審判所における調査審理に当たって必要な知識の習得を目的として行われます。
私の時分は、ちょうど行政不服審査法の大改正が迫っており、同法及び国税通則法の改正に伴う審判実務に与える影響にどのように対応するかといった内容について、制度改正のプロジェクトチームに所属する職員から講義を受ける機会が多かった印象がありました。

2.IT研修

新たに赴任した職員に加え、2年目以降の職員の中でも国税審査官や管理課職員といった諸手続を担当する機会の多い者を対象に、審判所の処理状況管理システム、裁決書の誤謬を防ぐためのプログラムである「e-neh」システム、裁決が発出された後の情報公開請求のためのマスキング事務、そして、裁決書作成支援フォルダの使用方法等についての研修が9月頃に丸1日をかけて行われます。

3.実務研修Ⅰ

基本的には留守番を除く全員が受講するもので、10月下旬頃に丸1日をかけて行われていました。
内容は、所長講話に始まり、法規審査担当の裁判官出身の審判官による議決書作成上の留意点の講義などが配置されていましたが、新任の任期付審判官が、過去に民間でどのような業務を行っていたのかについて、審判実務に関係があるか否かにかかわらず、いわゆる「顔見世興行」的な性格で研修が行われることもありました。
私は、税効果会計の繰延税金資産の回収可能性の論点を題材に会計上の見積もりについて80分程度お話したことがあります。

4.フォローアップ研修

7月下旬から8月処分にかけて埼玉県和光市にある税務大学校において「審判実務研修」を受講した新たに審判所に赴任した職員を対象に、実際の事件にある程度携わったことを前提に、実践的な研修が11月に2日間をかけて行われます。
具体的には、所長講話、具体的な事例を題材とした審理の実際、簡潔明瞭な裁決書の作成、審理における具体的な留意事項、そして、班に分かれて事例検討を行い発表をして講評を受けるという形態もありました。

5.支部研修Ⅱ

概ね「支部研修Ⅰ」と同じような形式で1月頃に丸1日をかけて行われるものであり、その時々のトピックスや外部講師による講話(例えば、(現在は裁判官に復帰している)直近の元大阪審判所長による講話、法務省の租税訟務に携わる検事による講話)などが配置されていました。
私は、審判官3年目に「請求人面談を円滑に実施するために」というタイトルで、準備や当日の進行上の留意点について講義を行ったことがありました。

6.まとめ

このように、国税不服審判所の職員には、
・審判実務(技能)の習得:争点整理及び事実認定等の審判実務に必要な実践的なノウハウの習得
・法律知識等の習得:外部講師・法曹出身者及び任期付審判官等が持つ専門的知識の習得
のために各種の研修が用意されており、法曹出身の審判官などが主に登壇していましたが、任期付審判官も過去の知見を活かした講義を行うこともありました。
この研修にかけるエネルギーは民間ではなかなか実現できないものかも知れませんし、その講師のラインナップも錚々たる顔ぶれだったと記憶しています。

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