【0012】任官に当たってのアドバイス

1.国税不服審判所はベールに包まれていた

平成26年2月に国税不服審判所の採用試験に合格したものの、当時は民間出身の国税審判官の卒業生は関西にはほとんどおられず、国税不服審判所に関する情報をほとんど得ることはできませんでした。

そこで、私は、「国税審判官 大阪」でネット検索したところ、平成25年に任期満了退官された弁護士さんのホームページに行きつき、「info@・・・」のアドレスに「あの~、この度民間出身の国税審判官の採用が決まったのですが」とアポイントを取って菓子折りを持ってお話を伺ったことがあります。

他にも、初めての国家公務員しかも縦社会の国税組織ということで、任官までの間に私の知る国税OBの複数の税理士先生にお話を伺ったことがあります。

その時に、どの方からもアドバイスを受けたのは、以下の2点でした。

2.「酒は飲めるのか?あの職場は良く酒席の機会があるから、飲めた方が良いのだけど。」

確かに、夜のお誘いは多かったのですが、国税プロパー職員は、「これでもだいぶ少なくなった。事務年度初めと終わりなんて、昼の仕事の影響などお構いなく修行のように飲んでいた。」と言っていました。

最近は、若手職員を中心に、公式な飲み会(事務年度顔合わせ会・忘年会・お別れ会)以外は参加しないという職員が増えてきたようですが、上の世代を中心に「同じ釜の飯」意識や「外部からは敬遠される職種である(内輪でつるむ)」こと等が影響してか、酒席の機会は民間に比べて格段に多いと思います。

全くアルコールを受け付けない私も、「1年目は何事も経験だし、いろんなことが聞けるし。」ということで、できるだけ参加し、各自積立をして職員旅行にまで行きましたが、2年目からはおおむね公式な飲み会のみにしました。

民間の目から見ると、終身雇用が約束されているためか、それだけ飲み会が多いということは、ある種「平和ボケ」な感じもあるなと思っていました。

3.「年上部下が多くなると思うが、『人生の先輩』として敬意をもって処遇するように。」

税務職員は、大量採用世代が50歳代を迎えており、ただでさえ平均年齢が高いのです(税務署も上席国税調査官だらけです)が、審判所は、課税処分の正否を審理する機関であり、よりベテラン職員が配置されるため、プロパー職員の平均年齢が更に高くなります。

一方で、民間出身の国税審判官は平均年齢が40歳前後であり、審判部のメンバーを若い順番に並べたときの若手3名がいずれも民間出身の国税審判官ということもあり得ない話ではなく、そうすると、立場が対等である国税(副)審判官が年上であるのは致し方ないとしても、自分の業務の補佐をしていただく審査官も年上であることが多いです。

私は、民間出身としては平均的な年齢で任官されていたのですが、3年間で同じ部門でご一緒した国税審査官6名は「年下1名・同い年1名・年上4名」でした。

年下の方、同い年の方も、私が教えていただくことばかりで尊敬していたのですが、特に気を遣ったのは、年上4名の国税審査官への対応でした。

人事上、たまたま現在は上下関係があるものの、彼(彼女)らは既に20~30年の国税のキャリアがあってそれなりの業務経験(税務署に帰れば総務課長・統括官になる方)を有し、相応にプライドも持ち合わせています。

私は、「民間出身の国税審判官は、専門能力・経験を期待されて採用されるが、たいがい自分よりも年上になる国税プロパー職員との関係をいかにうまく保って『やってほしいことをいかに気持ちよくやってもらえる』ように仕向けられるか」というマネジメント能力の方が、余程必要ではないか」と常々感じていました。

何事も1人では完結できない組織に入るからこそ、そのOB税理士達は、私に上記のアドバイスをしてくださったのだろうと思います。

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