【0017】遺児育英資金

1.義理に厚い組織風土

公務員全般がそうなのかはわかりませんが、国税組織は相対的に「義理に厚い」印象がありました。

大阪国税局管内でも9,000名弱の職員がいますので、年に1~2名は現役職員の方が亡くなります。

そして、40~50歳台ということで、子供さんを遺されて亡くなるケースが多いです。

そういったときに各部課で回覧されるのが「遺児育英募金の趣意書」です。

2.遺児育英資金の趣意書

国税庁長官指定官職(副署長以上級)は国税庁長官を筆頭に、一般官職(税務署総務課長以下)は直近の所属長(税務署長など)を筆頭に、業務ラインの上司(最後は同期代表)が並び、縦書きで、

「〇〇君のような大変優秀な職員を失ったのは痛恨の極みで・・・しかも、〇〇君には、12歳と8歳の子供さんもいて、さぞかし無念だったことでしょう。・・・ついては、残された2名の子供のために、皆様のご厚志を・・・1口500円でよろしくお願いいたします。」

という内容の書面が回覧されてきます。

私にとっては、まるで関係のない職員ですので、どうしたものかと思っていたら、隣の席にいた国税プロパー職員が、「民間出身の方はしなくて良いですよ」というので、そのまま回覧に回しました。

2か月ほどして回覧されてきた「ご報告」を見ると、「7,500名の方から800万円のご厚志をいただきました。」とあり、その人数(参加割合)と金額に大変驚きました。

その報告の回覧には、奥様らしき方が、手書き・縦書きで、

「大変ありがとうございました。これで子供をしっかり教育していく覚悟ができました・・・かしこ」

という趣旨の内容が書かれたお礼が添付されていました。

固有名詞が違うだけで、マニュアルがあるのではないか?と思うくらい毎回同じ内容です。

異動が頻繁な職場ですので、「同じ職場で勤務したことがある。」「名前くらいは聞いたことがある。」という職員も多いのでしょうが、「昔はもっと金額が集まったんですよ。1,000万円以上とかザラでした。」というその国税プロパー職員の言葉を聞いて、相続税法基本通達21の3-9に定める「個人から受ける・・・見舞い等のための金品で、社会通念上相当と認められるもの」なのだろうかと一瞬思うと同時に、義理に厚い組織風土を感じました。

平成28年4月発生の熊本地震の被災税務職員に対する義捐金もかなりの人数・金額でした。

3.組織風土の負の側面

組織風土が上記場面で発揮されるのは良いとして、負の側面もあるような気がします。

例えば、会計事務所を主宰する税理士(公認会計士)先生は、働きながら税理士試験の勉強をされている部下・後輩の方を「がんばってほしい。」「早く合格してほしい。」という思いで見ておられると思います。

しかし、例えば、若手税務職員が税理士試験の勉強をしていることが職場で知られると、「あいつ、早く辞める気じゃないか。どうせ20数年で資格は取れるんだから、勉強するより、(夜の付き合いを含めて)俺たちにもっと関われよ。」と何だか裏切り者のように囁かれることがあります。

税理士試験の勉強をしている若手税務職員は、自分の耳に入らないところで、そういった囁きがあることを想定して、職場には受験勉強をしていることを隠しています(試験会場も敢えて地方に行きます)が、そういう職場は少しおかしな気がします。

これも「組織風土」といって良いのかわかりませんが、組織が変われば雰囲気も随分と異なるということはいえると思います。

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