【0186】審理手続の終結

1.審理を終えたと認められる場合の終結

担当審判官は、必要な審理を終えたと認めるときは、審理手続を終結します。
この場合には、その審理が裁決をすることができる程度にまで熟したのですから、当然のことであり、次の手続である担当審判官・参加審判官で構成する合議体による議決、法規審査を経た上での裁決へと進行させることになります。
なお、その審理が裁決をすることができる程度にまで熟していない場合でも、審理関係人の協力がないときなどにあつては、その審理手続を終結させることができるとされています。

2.相当の期間内に書類等が提出されないときなどの終結

審理関係人が主張立証等の機会を与えられたにもかかわらず、主張立証等の行為をしないときは、事件の迅速な解決を図る観点から、担当審判官は、その判断により審理手続を終結させることができます。
審理関係人は、簡易迅速かつ公正な審理の実現のため、相互に協力して審理手統の計画的な進行を図る責務を負っています。
それにもかかわらず、その責務を果たさないのですから、審理を打ち切られてもやむを得ないのでしょう。

具体的には、次のような場合が該当します。
❶次のそれぞれの規定で定める相当の期間内に、それぞれに定める物件が提出されない場合において、担当審判官が更に一定の期間を示してその物件の提出を求めたにもかかわらず、その期間内にその物件が提出されなかったとき。
・答弁書
・反論書
・参加人意見書
・証拠書類若しくは証拠物又は事実を証する書類その他の物件
・帳簿書類その他の物件
ここで「更に一定の期間」については、上記の物件につき審査通達の定めにより担当審判官が先に審理関係人に対してそれぞれ相当の期間を定めてこれらの提出を求めているのですから、原則として、先に示した相当の期間よりは短い期間で良いものとされています。

❷口頭意見陳述の申立てをした審査請求人又は参加人が、正当な理由なく、その口頭意見陳述の期日に出頭しないとき。

このうち、上記❶はその書類その他の物件の所持人が審理関係人の場合であり、それ以外の者が所持しているような場合には、この審理手続の終結規定は働きません。

3.終結の判断は慎重であるべき

上記に該当する場合であっても、担当審判官らは、職権により質問検査権を行使することができるのですから、その権限を適切に行使して、正義と公平の観点から真実を発見し、適正な課税の実現を図らなければなりません。
したがって、上記に該当するような場合であっても、即時に審理手続を終結するか否かについては慎重な判断を要するでしょう。
なお、上記2❶の「帳簿書類その他の物件」については、正当な理由なく、審査請求人等が担当審判官の質問、提出要求又は検査に応じないため、審査請求人等の主張の全部又は一部についてその基礎を明らかにすることが著しく困難になった場合には、その部分に係る審査請求人等の主張を採用しないことができます。

ここでいう「正当な理由」には、例えば、次の場合が該当します。
❶担当審判官が口頭意見陳述の日時又は場所を誤って教示したことにより出頭できない場合
❷口頭意見陳述の申立てをした審査請求人又は参加人の責めに帰すべからざる事由により、出頭することが不可能と認められるような客観的な事情がある場合(具体的には、地震、台風、洪水、噴火などの天災に起因する場合や、火災、交通の途絶等の人為的障害に起因する場合)

4.終結した旨の通知

担当審判官は、上記により審理手続を終結したときは、速やかに、審理関係人に対して、審理手続を終結した旨を通知することになります。

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