【0147】民間出身国税審判官の或る日の日記(その31)

1.平成27年5月1日

本日よりクールビズ開始。
審査官2人が定時前にひそひそと「またアイスコーヒーを作らないといけないな~。コーヒーメーカー3回転と夜間のお茶の冷却でバタバタするな~。いつからにします?」という会話をしていて、連休明けの11日からになったようだ。

(補足)
国税不服審判所では、国税庁長官指定官職である「国税審判官・国税副審判官」と一般官職である「国税審査官」には上下関係の大きな違いがあり、戸締りをはじめ、掃除や郵便などの各種当番の役目は指定官職には回って来ず、3名の審査官が交代で従事していただいていました。
その中には職員が飲むコーヒー・お茶作りも含まれており、特に夏場には作ったコーヒー・お茶を冷やすという工程が加わるため、できるだけしたくない(するとしても時期を遅らせたい)と思っていたのでした。
その2人の審査官は、1人が私と同い年、もう1人が私よりも5歳年上だったのですが、私との官職上の違いは、税務署に例えれば「小規模税務署長(=審判官)」と「税務署統括官・上席調査官(=審査官)」くらいの差があり、私が変にお手伝いしようとしても「手出しされると却ってこちらが大変なんです(「審判官にそんなことさせて!」と怒られるんです)!」とばかりに取り上げられ、お世話していただくのに甘えるしかありませんでした。

2.請求人面談の準備

A事件の請求人面談の事前準備について、「当日のシナリオ」「想定される主張」「釈明陳述録取書案」「質問調書案」を取りまとめたが10枚以上になった。
案としては、請求人の信念である主張を審判所が理解していることをまず伝えて、その後の進行を円滑にするシナリオにしたが総括がどう思うかだ。

(補足)
担当審判官は、請求人面談に先立ち可能な限りの事前準備をしているといって差し支えありません。
限られた時間でこちらの聞きたいことを聞き、言葉による回答を文章に取りまとめて確認させ、署名押印までもらわなければなりません。
そのためには、事前に法規審査に確認を取った上で、当日のシナリオを用意して合議体で打ち合わせをしたり、時間短縮のために想定される釈明陳述録取書や質問調書の入力を前倒ししたりして備えていました。
また、請求人がどうしても主張したいことが事前に想定される場合には、まずそれを確認して請求人を安心させた上で、こちらの聞きたい質問を行うといった円滑な面談のための工夫を凝らしていました。

3.税務相談室への異動

主任審判官と同期の相談官が亡くなられたようで、審査官は同じ宿舎だったことがあるようだ。
急死なのか病気療養中だったかはわからないが、審査官の見立てでは、事務年度の途中で相談室に移動したということは、療養中だったということが推察されるとのことだった。

(補足)
事務年度途中の異動は緊急の必要性があって実施されるものであり、通常は「病気」「不祥事」が原因であることが多く内部職員も着目します。
特に、税務相談室への異動については、相談室が「1人欠けてもたちどころに困る」部署ではないことから、異動後に亡くなられたということは、異動して休職したのではないかというその審査官の見立てでした。
税務相談室は外部から見ると「税法博士」が選抜されて在籍しているイメージがあるかもしれませんが、その実情は署内で問題を起こした又は健康状態がすぐれない方の吹き溜まり的な部署という側面が否定できないことを知りました。
詳しくは、「【0070】税務相談室の裏の機能(https://www.trusty-board.jp/blog/2088/)」をご参照ください。

4.国税局と審判所の区別

一息ついたところで、税理士会支部の研修講師の予習をしているが、昨日届いた支部からの研修案内を見ると、肩書が「大阪国税局不服審判官」となっており、税理士でさえ局と審判所の区別が付いていないのに、一般の納税者が区別できるわけがないな~と納得とも諦めともつかない気持ちになった。

(補足)
当時は行政不服審査法の大規模な改正を控えていたことから、国税不服審判所本部が、税理士会(支部)の研修の機会を確保してもらって職員が講話に行くようにとの号令がかかっていました。
私が税理士からの民間登用であり、税理士会(支部)の研修担当者の知り合いが多く、事実上「ご指名」で当時所属(ただし税理士法43条後段による業務停止)していた近畿税理士会下京支部の研修に講師派遣されることになりました。
事前に、研修会次第の案内を支部からいただいたのですが、私の官職名が本来ならば「大阪国税不服審判所神戸支所国税審判官」であるにもかかわらず、「大阪国税局不服審判官」となっており、上記のような観念を抱いたのでした。

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