【0109】「国税審判官」のサジェストキーワード(その3)

1.ラッコキーワードによる検索傾向

「ラッコキーワード」というサイトがあります。
これは、Google・YouTube・goo・Yahoo・Bingなどでなされる各種のキーワードリサーチのデータを収集して無料で提供しているコンテンツ制作者向けのツールです。
読者や視聴者が求めているコンテンツは何かといったニーズを把握して、より効果的なコンテンツ制作に役立てている方が多いようです。
このラッコキーワードに「国税審判官」と入力したときに、どういったサジェストキーワードが顕れるのでしょうか。
いろいろ検出されますが、「とは」以外には、主に以下のような語句が掲記されています。
「倍率」「年収」「弁護士」「退職金」「書類選考」「年齢」「給与」「税理士」
今回は「書類選考(採用試験)」に関連するところを解説します。

 

2.書類選考

国税不服審判所ホームページには、選考方法について以下の記載があります。

提出いただいた履歴書等により、書類選考を行い、その結果を令和2年11月中旬頃に連絡します。
また、書類選考合格者には、別途、面接日時等を書面で連絡します。
面接試験は、審判所本部(財務省本庁舎4階)において実施する予定です。

書類選考のために提出する書類としては、ホームページに「履歴書」という様式が用意されていますが、通常の履歴書内容のみならず、

志望動機
自己PR
・国税審判官として活かすことのできる民間実務経験や大学における教育・研究実績
をそれぞれA4で1頁程度記載することが求められています。

また、国税に関する執筆等の経験、講演(研究報告)等の実績、弁護士会・税理士会・公認会計士協会の会務活動への積極的な貢献に寄与した実績などがあれば、その概要を記載することになっています。

応募者は例年100人程度ですが、書類選考合格者(面接試験対象者)の人数が概ね30人程度で、採用予定者数(毎年15人程度)との比較からすれば、書類選考で「6人に2人」の程度にまで絞られ、面接試験によって「2人から1人」に絞られるようです。
このうち、書類選考合格者の人数は、予定されている2日間で面接できる人数の上限が予め決まっており、応募者が何人になろうとあまり変わらないのではないかと思われます。

 

3.面接試験

上記のとおり、面接試験は東京霞が関の財務省本庁舎にある国税不服審判所本部で行われます(交通費は自己負担です)。
意外かも思われるかもしれませんが、面接試験は1回きりです。
それは、面接官の陣容が重厚であり、私の時には以下の5名であり、それぞれの日程調整の都合上、複層的な面接の機会を設けることができないからだと思われます。
本部所長(裁判官)
本部次長(国税庁キャリア官僚)
東京国税不服審判所長(検察官)
大阪国税不服審判所長(裁判官)
本部管理室長(国税庁キャリア官僚)

なお、書類選考合格者を対象に、最寄りの各地域国税不服審判所において、業務内容等の説明会が開催され(参加は任意です)、その時に、管理課長や民間出身の国税審判官の先輩とコミュニケーションを取ることになりますが、この時の様子について管理課長から本部に報告を上げることになっており、これを含めれば2段階の面接ということになるでしょうか。

上記の面接官の布陣、そして、国税不服審判所の本来的機能からすれば、税理士・公認会計士の被験者に対する面接試験の質問は、自ずと「コイツにはリーガルセンスがあるのか?争訟関係の経験はあるのか?」といった着眼の下に発せられることになり、一般的な税理士・公認会計士の業務経験しかない被験者はかなり苦戦するかもしれません。

ただし、被験者の過去の業務経験については書類選考で検討が終わっているともいえますし、上記の面接官は税理士実務・公認会計士実務を経験しているとは思えませんので、面接試験ではむしろ「協調性・国民全体の奉仕者となる意識があるか」という公務員として備えるべき意識を確認するという性格もあると思われます。

面接試験では、あまり「自分のキャリアアップにしか関心がない」ことが露見するような受け答えは慎み、準司法機関である国税不服審判所の機能に対する理解を前提として、公務員志望者としての弁えを大事にすることが肝要ではないかと思われます。

私も一度、それで失敗して面接試験で不合格になっていますので・・・。

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