【0344】民間出身国税審判官の或る日の日記(その101)

1.平成27年〇月〇日

支所はまた新件が発生したようだが、法人事件とは珍しい。
前事務年度で退官した弁護士出身審判官のKさんの〇事件については今月中間合議になっていて、手間取っている感じはある。
制度改正の手引関係の意見聴取が来ているようだが、数百ページもあって実際に逐一確認できない。
むしろ、「支部の意見も聞きましたよ。」という実績づくりのために回している感じだ。
A審査官が小声でブツブツ言っているが、審理部審査官から五月雨的にコメント(修正できないか)が来ているらしい。
合議をするならどこかで割り切らないといけないし、裁判官出身審判官になって、「法規審査の早期関与」という名のもとに。合議体が審理部の下請けになってしまっている(審理部の作業の前倒しを合議体がさせられている)気がしてどうかと思う。
結局、「こちらは既に動き始めているので、直してくれてもくれなくても結構」みたいなことになっているようだ。
審理部との隔たりは、大きくは「・・・」と「・・・」の2点であるが、審理部が独自に動き出しているのであれば、無理やり反映させても甲斐がないので、前者も後者もこのままで最終合議に臨むことにする。
部長審判官説明は、弁護士出身審判官の制度改正関係の報告後に入る。
「一度ご覧いただいてから説明する。」と言ったが、結局その場で説明してしまう。
・・・については入れた方がよい(でないと・・・)というところは了で、最終合議の日程も〇日の11時で確保した。
最中に、A審査官が、・・・を入れておいてよいのかと言い、じゃあ逆に・・・を入れる必要はないのか、という話にもなったが、結果的には・・・を含めて・・・方式に戻すことになった。
管理課長から「試行の実施について」という文書が総括審判官宛に発遣されたが、「請求人別事務計画表と証拠書類等一覧表の活用」「部支所の進行管理表を共有し迅速な処理を実現」「法規審査担当が早期関与事案を指定」「新たな記載方法の裁決書『1事実』『2争点』『3判断』による議決答案を早期作成」「議決(終結)前説明会の開催」の5項目あった。
これだけでは、どのような影響があるのかは読めないものの、未済事件説明会については自分の案が良からぬ方向で採用されているような気がする。

2.倫理法研修

13:15から倫理法研修を15階で受ける。
開催趣旨は12月1日から国家公務員倫理週間だからだそうだが、管内の倫理規程違反の多さに鑑み、総論よりも各論の研修であった。
始まる前に、主任審判官とA審査官が、「・・・署の職員が・・・で逮捕された」という話をしていたが、今の署長は前事務年度の2部の部長審判官である〇さんだ・・・人数も多いのだろうが処理が大変だ。
最初に人事2課長の挨拶があったが、前事務年度の広報室長で不祥事のたびに頭を下げていた人だった。
DVDは、国税庁に限らず国家公務員全般として、利害関係者である場合とそうでない場合に分けて、4,000円のワイン×6本÷参加人数25人=960円で利害関係者でないため少額・単発なのでOKとか、視察等の合間の昼食は会議の箱弁等ではないのでダメとか、判断基準についてのものだった。
実際の講話の女性職員が、まるで電話の応答のような無機質な抑揚のない会話であり、聞いているのが辛かった。

3.今更修正したくない

15時過ぎからB事件の面談の打ち合わせをしたが、「・・・」「・・・」の答述が取れなかったら全員・・・方向になること、原処分調査が素の状態で応じているので、代理人が居るリハーサルもされたであろう状態で取れた答述が使えるのかという話もあった。
代理人属性を考えて、自分には、面談の状況の記録を要請された。
最後にA事件の打ち合わせもして、合議では審理部審査官からは現在進めている修正内容を言ってもらうことにしているが、「合議体としては法審修正にこだわらないことを伝えてある」とA審査官から報告を受ける。
どちらにせよ、審理部の進める修正内容で裁決するのだから、金曜日の合議を終えれば議決ということになるが、審理部審査官(裁判官出身審判官)の指摘を合議体でいまさら反映させるのは勘弁してほしい、というか、もうこのまま議決させてほしい。
弁護士出身審判官から、質問状況報告書のフォームを送ってもらう。
向かいでは、副審判官とB審査官が争点の確認表について議論している。
明日から寒いそうだが、「自分は議決までは夏スーツで行く。」とみんなに言って笑い(失笑?)を誘う。
合議資料の議決書案を改めて通読するが、文字が飛んでいるところや消し忘れがいくつか見られ、これは合議時に指摘して「直します。」ということにする。

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