【0143】民間出身国税審判官の或る日の日記(その28)

1.平成27年〇月〇日

合議資料、求釈明予定事項及び質問予定事項を取りまとめて総括審判官に提示するが、やはり総括審判官の言っていることが理解できていなかったようであり、改めて指導を受けた上で作成する。
副審判官が原処分庁に出張しているので、初歩的な疑問も遠慮なくぶつけられる。
平成27事務年度の機構定員の回覧が回ってきたが、大阪国税不服審判所は国税審判官が2名減員であった。
総括審判官は、「各審判部の状況を見ると不吉な予感がしますね。」ということで、神戸支所が1名減になるのではないか。
減員になるといっても対象となる神戸支所の国税審判官は、民間出身の2名(あとはプロパー出身の役付審判官)ということだから、現在3年目の弁護士出身審判官の退官後の補充がないということになるのだろうか。
支所長、総括審判官と昼食に行ったが、昨日、新審判所長が支所を視察した際に、同じ庁舎内にある兵庫税務署長に表敬挨拶に行った際に、税務署の管轄に福原の歓楽街があって・・・みたいな話をしたそうである。

(補足)
新年度予算案が可決成立されるということは、公務員の新年度の機構も確定したことになります。
前年度からの異動状況が事務連絡として回覧されるのですが、大阪国税不服審判所の国税審判官の定員が「▲2」と記載されていました。
国税審判官は審理部にも(支所を含む)審判部にも在籍していますが、国税不服審判所は総員規模(分母)が大きくなく、かつ審査請求事件の発生状況は税務調査と異なりコントロールできませんので、たまたま大量に審査請求事件がやってくるとオーバーフローになる危険を孕んでいます。
当時の各部の係属状況からすると、神戸支所からの削減は有力で、実際に蓋を開けてみると、神戸支所の民間出身者枠と大阪本所第二部の国税プロパー枠の2名が削減されていました。
神戸支所は兵庫税務署庁舎内にあり、兵庫税務署は神戸市兵庫区・北区・三田市が管轄でしたが、兵庫区には福原という風俗街があり、私も、JR神戸駅からその歓楽街の入り口を通り過ぎて通勤していました。

2.合議のメンバー

午後から2部門の2件の事件の当初合議が開催される。
審理部の総括審判官と担当の審査官のほか、所長とともに法務省から出向してきた裁判官出身審判官も来ていた。
ネクタイをしていなかったのが不思議だったが、監査法人経験者から見たら普通でも公務員の立場から見ると違和感があるだろう。

(補足)
合議は、原処分庁からの答弁書が到着した頃の「当初合議」と裁決書案を取りまとめる前に行われる「審理手続終結合議(最終合議)」と、必要に応じて「中間合議」が開催されるのが通常です。
メンバーは、議決権のある担当審判官1名と参加審判官2名の計3名の「合議体」のみならず、オブザーバーとして、審判部の部長審判官(支所の場合は支所長)、事件別に審判官を補佐する審査官、そして、法規審査部門(大阪国税不服審判所では審理部)の税目別の審判官と審査官、合議体に弁護士がいない事件については、その審判部に在籍している弁護士出身審判官が参加することになっており、むしろオブザーバーの方が多いという構成になっていました。
そして、これら参加者の日程調整が大変でした・・・。
たまたま、その事案は、法規審査担当の裁判官出身審判官が着任直後ということもあって、支所視察もかねてオブザーバー参加していました。

3.原処分庁とのなれ合い防止

2部門の主任審判官が、「黄色のマーカーが切れているが在庫はないか?」と審査官に聞いていて、審査官が気を遣って、同じ庁舎内にある兵庫税務署の会計係長から1本借りてきたところ、総括審判官から「必ず大阪本所から補充して兵庫署に返してくださいね。」との指示があった。
請求人の知らないところであっても、馴れ合いが生じないようにということなのだろう。

(補足)
国税プロパー出身者が原処分庁(課税執行)側から出向しており数年で帰任するため、異動が頻繁ということもあって原処分庁側の担当者と知り合いということも多いですし、特に後輩職員であれば尚のこと顔が利くということもあるのだと思いますが、審査請求人がそういった融通があることを聞くと、「審判所と原処分庁はやはり同じ穴のムジナではないか」という疑問を持ち、審理に非協力的になる(期待されない)ということも考えられます。
その審査官は、原処分庁側としては40代後半のベテラン職員(税務署の総務課長経験者)でしたが、国税不服審判所の勤務としては1年目であり、課税執行側との立場の違いについて、総括審判官に改めて釘を刺されたのでしょう・・・。

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