【0248】小規模宅地等の特例の変遷(その7)

1.平成22(2010)年度改正

相続人等による事業又は居住の継続への配慮というこの特例の制度趣旨等を踏まえ、その趣旨に必ずしも合致しない相続人等が事業又は居住を継続しない部分については、適用対象から除外する見直しが行われました。
上記のほか、本特例に関し、被相続人等が居住の用に供していた宅地等が二以上ある場合には、相続人による居住の継続への配慮という制度の趣旨や創設時の経緯から、適用対象となるのは主として居住の用に供されていた一の宅地等に限られるものと解されていましたが、文理上、その点が明確でないとの指摘がなされていました。
以上のような状況を踏まえ、制度の趣旨を徹底し、併せて租税回避的な利用を排除するため、本特例について次のような見直しが行われました。
❶相続人等が相続税の申告期限まで事業又は居住を継続しない宅地等(改正前:200㎡まで50%減額)を適用対象から除外する。
❷一の宅地等について共同相続があった場合には、取得した者ごとに適用要件を判定する。
❸1棟の建物の敷地の用に供されていた宅地等のうちに特定居住用宅地等の要件に該当する部分とそれ以外の部分がある場合には、部分ごとに按分して軽減割合を計算する。
❹特定居住用宅地等は、主として居住の用に供されていた一の宅地等に限られることを明確化する。

2.二段構えの適用の廃止

特例対象宅地等の改正特例の対象となる宅地等は、個人が相続又は遺贈により取得した宅地等のうち、相続の開始の直前において、被相続人等の事業の用又は居住の用に供されていた宅地等で一定の建物又は構築物の敷地の用に供されていたもので、特定事業用宅地等、特定居住用宅地等、特定同族会社事業用宅地等又は貸付事業用宅地等に該当する部分に限ることとされました。
これまでは、まず被相続人等の事業用又は居住用の宅地等の用に供されていれば「小規模宅地等」に該当して50%の評価減が確定し、申告期限までの継続要件などを満たす宅地等については、更に80%に拡充されるという二段構えの制度設計でしたが、この二段構えを廃止し、たとえ被相続人等の事業用又は居住用の宅地等の用に供していても、申告期限までの継続要件など、特定事業用宅地等、特定居住用宅地等、特定同族会社事業用宅地等の各要件を満たさなければ50%減額の適用もない(80%減額が適用されるか全く適用されないか)という現行適用されている規定になりました。

3.特定事業用宅地等

被相続人等の事業(貸付事業を除きます。)の用に供されていた宅地等で、下記表❶又は❷のいずれかを満たすその被相続人の親族が相続又は遺贈により取得したもの(その親族が相続又は遺贈により取得した持分の割合に応ずる部分に限ります。)をいうこととされました。
❶その親族が、相続開始の時から申告書の提出期限(申告期限)までの間にその宅地等の上で営まれていた被相続人の事業を引き継ぎ、申告期限まで引き続きその宅地等を所有し、かつ、その事業を営んでいること。
❷その親族が被相続人と生計を一にしていた者であって、相続開始の時から申告期限まで引き続きその宅地等を所有し、かつ、相続開始前から申告期限まで引き続きその宅地等を自己の事業の用に供していること。
したがって、特定事業用宅地等以外の事業用宅地等については、特定同族会社事業用宅地等又は貸付事業用宅地等に該当するものを除き、上記❶又は❷に掲げる要件を満たさない限り、本特例の適用がないこととされました。
また、改正前は共有で取得した親族のうちに一人でも上記❶又は❷の要件を満たす者がいる場合にはその宅地等の全体が特定事業用宅地等に該当するものとされていましたが、改正後は要件を満たす親族の持分に対応する部分のみが減額対象となりました。

4.特定居住用宅地等

被相続人等の居住の用に供されていた宅地等(その宅地等が二以上ある場合には、一の宅地等に限ります。)で、その被相続人の配偶者又は下記❶から❸までに掲げる要件のいずれかを満たすその被相続人の親族(被相続人の配偶者を除きます。)が相続又は遺贈により取得したもの(被相続人の配偶者が相続又は遺贈により取得した持分の割合に応ずる部分又は下記表❶から❸までに掲げる要件に該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得した持分の割合に応ずる部分に限ります。)をいうこととされました。
❶その親族が、相続開始の直前においてその宅地等の上に存する被相続人の居住の用に供されていた家屋に居住していた者であって、相続開始の時から申告期限まで引き続きその宅地等を所有し、かつ、その家屋に居住していること。
❷その親族(被相続人の居住の用に供されていた宅地等を取得した者に限られます。)が相続開始前3年以内に国内にあるその者又はその者の配偶者の所有する家屋(相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋を除きます。)に居住したことがない者であり、かつ、相続開始の時から申告期限まで引き続きその宅地等を所有していること(被相続人の配偶者又は民法第5編第2章の規定による同居の相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続人)がいない場合に限られます。)。
❸その親族が、被相続人と生計を一にしていた者であって、相続開始の時から申告期限まで引き続きその宅地等を所有し、かつ、相続開始前から申告期限まで引き続きその宅地等を自己の居住の用に供していること。
したがって、特定居住用宅地等以外の居住用宅地等については、上記❶から❸までに掲げる要件を満たさない限り、本特例の適用がないこととされました。
また、改正前はその宅地等を相続又は遺贈により共有で取得した配偶者がいる場合又は共有で取得した親族のうちに一人でも上記❶から❸までに掲げる要件を満たす者がいる場合には、その宅地等の全体が特定居住用宅地等に該当するものとされていましたが、改正後は配偶者の持分に対応する部分又は要件を満たす親族の持分に対応する部分のみが減額対象となりました。

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