【0225】口頭意見陳述の留意点(その7)

1.補佐人の帯同申請の方法

担当審判官は、申立人から補佐人の帯同申請があった場合には、下記の点に留意して運用しています。
まず、補佐人の帯同申請は、口頭意見陳述の申立てごとにしなければならないとされています。
また、補佐人帯同申請が口頭によってされた場合には、原則として、「補佐人帯同申請書」の提出を求めることになります。
口頭意見陳述の際の補佐人の帯同申請を書面によって行うように求める趣旨は、口頭意見陳述までの審理手続に参加していない者を、口頭意見陳述の場において、また、口頭意見陳述の場に限って同席することを認めることになるためであり、担当審判官や原処分庁に所属する職員等に課せられた守秘義務の観点からも、申立人が補佐人の帯同を申請する意思があることを明確にし、担当審判官が補佐人帯同の許否について適切に判断することができるようにするためです。
しかしながら、申請を書面によるものとする法令上の規定はないから、前記の依頼は、飽くまでも協力要請(お願いベース)であり、提出を求めたにもかかわらず、その後申立人が申請書を提出しない場合には、再度、その真意を確認し、申立人が口頭意見陳述に際して補佐人の帯同を希望する限りにおいては、担当審判官は、申請書の提出がなくても、補佐人の帯同申請の許否について検討する必要があります。
なお、担当審判官は、申立人から口頭意見陳述の際に補佐人を帯同したい旨の申請があったときは、速やかにその許否を決定するものとすることになります。

2.審査請求書等に申請を行う旨の記載があった場合

審査請求書、反論書等において補佐人帯同申請がされた場合には、申立人の真意を確かめた上で、審理手続の経過を記録上明らかにするために別途「補佐人帯同申請書」を提出して申立てを行うように求めることになります。

3.事前に申請のない補佐人

口頭意見陳述の当日に申立人が補佐人を帯同し、出席の許可を求める場合もあると想定されるところですが、この場合には、担当審判官は、申請の手続をとらせた上で、速やかに許否について判断し、申立人に対し補佐人帯同の許否を口頭で伝えるとともに、「口頭意見陳述実施記録書」に記載することになります。
なお、不許可とした場合には、申立人の権利の制約に関わるという重要性に鑑みて、口頭意見陳述の終了後、速やかにその旨を(管理課長を通じて)審判所長に報告することとされています。
補佐人の帯同に関しては、申請の時期や方式に関する法令上の規定がないため、申立人が「補佐人帯同申請書」を作成しないことも考えられます。
このため、担当審判官は、申立人が申請書を作成しないまま、その場で帯同の理由及び補佐人の身分等を聴取し、その許否を決定すべき場合があり得ます。
この場合についても、上記と同様に、補佐人帯同の許否については、申立人に対し口頭で伝えますが、その旨確実に「口頭意見陳述実施記録書」に記録することとし、不許可とした場合には、口頭意見陳述の終了後、速やかにその旨を審判所長に報告することになります。
なお、その後も補佐人の帯同申請書を提出しない場合には、再度、その真意を確認し、申立人が補佐人の帯同申請を行う意向である限りにおいては、申請書の提出がなくても、補佐人の帯同についての許否を決定する必要があり得ます。

4.補佐人の帯同申請に対する許否の決定

担当審判官は、補佐人の帯同申請があった場合には、速やかにその許否を決定することになります。
また、担当審判官は、補佐人帯同の制度の趣旨に従ってその許否を決めることになりますが、具体的には下記の事項に留意することになります。
まず、申立人が補佐人を帯同したいという理由を検討し、申立人の主張又は説明を補佐させるべき相当の理由があり、かつ、補佐人となる者が適当であると認めたときは、その帯同を許可することになります。
ここで、補佐人の帯同の必要性は、申立人が外国人である等の事情や事件の性質、内容との関連において、補佐人として申請があった者の知識、能力等をもって申立人を補佐する必要があるかどうかにより判断することになります。
また、補佐人は、事実に関する陳述に限らず、法律上の点についても陳述することができることから、同居の親族、使用人及び記帳代行者等、事件の事実関係に密接な関連のある者に限定されるわけではありません。
付言すれば、補佐人の帯同は、専門的知識をもって申立人の意見陳述を補佐させる趣旨の制度であることから、担当審判官は、この趣旨に従って許否を決定することになり、例えば、会計に関する知識が乏しい者のために、会計帳簿の記載を代行している者が会計帳簿の記載に関して補佐人になる場合も考えられます。
なお、請求人が代理人を選任している場合には、補佐人の性格に鑑み、通常、補佐人帯同の必要性が低いと認められるから、その必要性については慎重に検討することになるでしょう。
稀なケースでしょうが、喧騒や混乱を生じさせたなど、陳述の打切りの基因となった補佐人について、他の申立人からこの者を補佐人とする補佐人帯同申請があった場合には、当該陳述の打切りに至った経緯を検討した上で許否を判断することになります。
なお、補佐人が税理士法に規定する税理士業務の制限規定に該当する行為をするおそれがある場合その他税理士法違反のおそれがある場合には、許可を与えず又は既に与えた許可を取り消すことになります。

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