【0025】退職所得の2分の1課税

1.退職所得の2分の1課税の適用がない

私が平成29年7月9日に大阪国税不服審判所国税審判官を退官した時に、国家公務員退職手当法に基づき退職手当を受給しました。

その収入金額は退職所得控除額(40万円×3年=120万円)を超えていたため、受給時に所得税及び復興特別所得税相当額が源泉徴収されています。

通常は、収入金額から退職所得控除額を差し引いた残額の2分の1が分離課税になるのですが、私の場合は、所得税法30条4項3号に該当(勤続5年以下の国家公務員)し、同条2項により2分の1課税の適用がありませんでした。

2.2分の1課税から除外されている趣旨

財務省ホームページの「税制改正の解説」には、立法者趣旨として以下の解説があり、元キャリア官僚が天下りを繰り返す、いわゆる「渡り」を想定されて改正されたものでしたが、なぜか、任期付職員法に基づき採用された私も適用対象の網にかかってしまいました。

「・・・この2分の1課税があることを前提に、短期間のみ在職することが当初から予定されている法人の役員等が、給与の受取りを繰り延べて高額な退職金を受け取ることにより、 税負担を回避するといった事例がかねてより指摘されており、今回の改正において、勤続年数5年以下の法人の役員等の退職所得については、 この2分の1課税を廃止することとされました。」

私が退官する時に、大阪国税不服審判所の民間出身の国税審判官から、「民間出身の国税審判官が所得税法30条2項及び4項に該当するのはおかしいので、2分の1を乗ずることなく源泉徴収はされてしまうだろうけど、敢えて2分の1をして確定申告をして、更正処分を受けて審査請求してくれたら、俺たちで合議体を組んで取消しするから!」という冗談を言われていました。

3.結局どうしたのか

その一方、私の国税審判官3年目に私の職務を補佐していただいた国税審査官(国税プロパー職員)が、私の退官と同時に、大阪国税局課税第一部審理課の主査(しかも所得税担当)に異動になってしまいました。

仮に、私が審査請求をすると、その方が原処分庁側の司令塔になり、私のお遊びのような事案のためにその方の仕事を増やす(答弁書や意見書を起案しなければならない)ことになります。

また、通達以下の発遣文書の法令適合性を審査する権限しかない国税不服審判所が、現在の所得税法30条4項3号の枠組みで、外部登用者を除外するような法令解釈を創出することはまず期待できず、訴訟を覚悟しなければなりません。

その割には、(住民税を含めても)税額影響はわずかであり、再度国家公務員になる機会もないであろう私が審査請求・訴訟に及んだとしても、私を知っている方の恰好のネタ以上の価値がありません。

そういった高度な判断によって、2分の1を乗ずることなく確定申告に織り込んだのでした。

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