【0188】不服申立人の地位の承継

1.相続による承継

不服申立人が死亡した場合にはその国税は相続人が承継しますが、不服申立てについても同様であり、相続による地位の承継の一環として相続人が承継することになります。
したがって、一身専属的な権利義務でない限り、相続が開始されればそれが公法上のものであるか私法上のものであるかに関係なく相続の対象になります。
相続による不服申立人の地位の承継は、不服申立人の死亡により直ちに何の手続も必要なく当然に生ずるため、不服申立手続が中断又は停止するということにはなりません。
なお、相続人が多数ある場合には、各相続人が承継国税の不服申立人となりますが、この場合には必要に応じ、相続人のうちから書類を受領する代表者を定めることができます。

2.合併による承継

不服申立人である法人が合併した場合にはその国税は合併法人が承継し、不服申立人としての地位も合併法人が承継します。
また、不服申立人である法人が分割した場合には、基本的には分割前の国税は引き続き分割法人が納付すべき義務を負うため、分割前の国税に関する処分に係る不服申立人の地位を分割承継法人に承継させる必要はありませんが、例えば、不服申立ての目的である滞納処分による差押え等のされた財産を承継させる分割があったときは、その財産を承継した分割承継法人は、不服申立人の地位を承継することになります。
更に、
信託の受託者の任務終了に伴い就任した新受託者
・受託者が2人以上ある信託において任務終了受託者から事務の引継ぎを受けた受託者
・受託者が死亡した場合の信託財産法人
・分割により受託者としての権利義務を承継した法人
も、前受託者の納付義務を承継していることから、当然に不服申立人の地位も承継することになります。
ちなみに、不服申立人である人格のない社団等の財産に属する権利義務を承継した法人及び法人の権利義務を承継した人格のない社団等についても同様です。

3.承継の届出

相続又は合併若しくは分割により不服申立人の地位を承継した相続人又は合併法人若しくは分割承継法人は、再調査審理庁又は国税不服審判所長若しくは国税庁長官に対して、死亡若しくは分割による承継の事実を証する書面又は合併等の事実を証する書類を添えて、死亡若しくは分割による権利の承継又は合併等をした旨を届けなければなりませんが、この届出は、承継の効力発生要件ではないものとされています。
ここで、「死亡若しくは分割による権利の承継又は合併の事実を証する書面」とは、例えば、相続の場合における戸籍謄本又は合併の場合における登記事項証明書が該当します。
この届出がない場合に、再調査審理庁又は国税不服審判所長若しくは国税庁長官が、不服申立人の死亡を知らないで被相続人の名義で処分をしたときは、当該処分に係る書類が相続人の1人に送達されることにより、すべての相統人に対して処分がされたものとみなされます。

4.権利譲受けによる承継

滞納処分について不服申立てが継続中に、差押財産が第三者に譲渡された場合等不服申立ての目的である権利を譲り受けた者がある場合には、その譲受人は、再調査審理庁又は国税不服審判所長若しくは国税庁長官の許可を得て、不服申立人の地位を承継することができます。
権利の譲受人は、利害関係人として不服申立てに参加できますが、参加人の場合は、不服申立人が申立てを取り下げることを拒否することができません。
さらに、権利の譲渡人は、不服申立てにもはや重大な関心を有しないであろうことから、譲受人に不服申立人としての地位の承継を認めて、その地位の安定に資することとしているのです。
地位の承継に審査庁等の許可を必要としているのは、権利承継の事実、その内容等に関する争いが不服申立ての処理に悪影響を及ぼさないように配慮するためですので、そのようなおそれのない限り許可は与えられるべきものでしょう。
また、上記の趣旨から、許可の申請は、権利の譲渡人及び譲受人の連署した書面の提出によってなされることが要求されています。

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