【0295】民間出身国税審判官の或る日の日記(その52)

1.平成27年8月〇日

1部門の弁護士出身審判官が先週休んで家族で沖縄旅行に行っていたそうだが、台風直撃で1日予定を早めて帰ってきたようだ。
昨日主任審判官が智弁和歌山の応援のために甲子園に行っていたようだが、負けてカンカンという感じだった。
月曜会(副審判官以上が出席する週例会議)の部長訓示は、一言でいえば、「審理部(法規審査部門)にこびる必要はないがうまく利用して議決書の品質の向上につなげよ」ということである。
判例秘書システムについては審判部で5名の割当があるが、それを公開して誰かのアカウントで使うことになる。
その5名は、部長、総括審判官はわかるが。あとは自分を含む民間出身国税審判官の3人ということだった。
「人事評価記録書の個人コメント欄については8月中に入力しておくように」ということだった。
主任審判官が副審判官に「〇〇署の不祥事のことって情報入ってる?」と聞いたが何かあったのだろうか?
副審判官は、「不祥事がある署って傾向があるんですけどね。」と言っていたが、単に在籍人数の問題ではないのだろうか?
B審査官は、今週は国家公務員のサマータイムである「ゆう活」であるが、ただでさえ遠く、審査官当番で朝早く来ることになり、その時間帯にバスがないので、朝4時台に起きて出発しているそうだ。
やるなら世間一斉にしないと意味がない(かえってしんどい)ことの典型である。
管理課の主任が国税不服審判所職員証票の受領の印鑑を求めてきたが、その証票は見せてもらえずただ押印するだけである。
自分の担当するA事件の基礎事実も含めて、一度議決書案の見直しをしようかと見始めていたが、見れば見るほど煮詰まってしまう。
B事件の補正書が出てきたようであるが、審査請求の趣旨について、副審判官とA審査官とB審査官が喧々謂々している。
自分は参加審判官でもないから話に加わることもないが、徴収事件ということもあって既に理解できない状態になっている。

2.主任審判官による期首面談

主任審判官が審査官に対して期首面談をして、A審査官、B審査官の順番で実施されたようだ。
終わったら、今度は副審判官が呼ばれて、「えっ?そんなの予定されていた?」と思ったら、自分も呼ばれた。
身上関係の話もあったが、退官後はどうするのかといった話が多かった。
ただ、「デロイトトーマツ税理士法人に戻ろうと思えば戻れるが実際に戻ろうかどうか迷っている。」みたいな話で繕っている(本当は片道切符なのに)自分が辛くなってきた。
面談後、部門内で、審判所長会議に先立つ意見聴取についてワイワイ喋っていたら、1部門の庶務担当副審判官が弁護士出身審判官の席に座って「早く取りまとめしてよ~。まとめに入りたいのに。」と言ってきた。
総括審判官が、主任審判官の作成した資料について誤りを指摘して「もう、頼むで~。」と肩を叩いていた。
毎年恒例の国税局組織対抗ソフトボール大会に出るかどうかについて部門で話していたが、いつも「(それぞれの人数が少ない)審判所・監察官室・監督評価官室」の連合チームとなり、去年は何とか9名揃ったものの1名も休めないのは無理だということで棄権になったようである。
昔は民間でも厚生行事に精を出していたが、今は社員の高齢化、会社への帰属意識その他の変化から流行らなくなっているのは公務も同じだ。

3.平成27年〇月〇日

自分の担当するA事件の議決書案を手直ししているが、時間が早く過ぎる。
B事件の答弁書依頼について、副審判官が直接自分に回してきたので受け取ろうとしたら、自分は参加審判官でもなかった。
B審査官が、部長に初めから決裁日付を書いて起案を持って行ったら、「自分が決裁してからその日を書くように。」と言われたとA審査官に言っていた。
主任審判官がマイナンバー法のe-learningを見ているがすぐ飽きているようである。
2部門に係属する事件になるとは限らないが、相続税の新件の代理人は、大阪支部の卒業生である民間出身の国税審判官のようである。
ただ、相続税はすでに1部門に係属されているから、2部門ということになるのだろう。
主任審判官が「事件主任は(副審判官)君やな。」と冷やかしていたが、実際には手待ちになる弁護士出身審判官なのかも。
A審査官と主任審判官がひそひそ喋っているが内容は聞こえない。
1部門では1部門の弁護士出身審判官が、事件主担者である1部門の副審判官に疑問をいろいろ呈しているようであるが、「〇〇が~」と言っているのでたぶんC事件についてだろう。
主任審判官が総括審判官から呼ばれて事件の説明を受けているが、先ほどの相続税の事案だろう。
主任審判官とB審査官が「ゆう活」でもう帰るということで、新件について少し説明してくれた。
担当審判官は弁護士出身審判官、参加審は主任審判官と自分、分担者はA審査官ということである。
第1部の総括審判官がやってきて、「新件が来て良かったね。しかも得意の相続税で。ゆう活で帰る?本当?サボりじゃないの?」と同期である主任審判官に弄っていた。
総括審判官がやってきて、「あいさつは?」と言われたので「?」と思ったら、部長の夏季休暇前に部門全員で挨拶する慣行らしく、部長がゆう活で早く退所するということで言いにきたようである。
もう部長が2部門付近に来たので、その場であいさつした。
代理人が経験者だからか形式審査は問題ないようであるが、A審査官が来週水曜日まで休暇と出張である。
書籍のコピーを証拠に付けているが、その代理人の著作であり、自分の本を添付してきているとは・・・。
いずれにせよ、事実認定が問題になりそうだ。
過去に原処分庁に勤務経験のある庶務担当副審判官は「原処分庁の管轄にそんな財産のある人が住んでいるんやな。」と冗談を言っていた。

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