【0291】民間出身国税審判官の或る日の日記(その48)



1.平成27年〇月〇日

A事件について自分だけ考えても埓があかないので、A審査官に現段階で作成した議決書案を渡す。
一瞥されて、「この程度で良いんじゃないんですかね~。」と言われつつ、「・・・というのは言い過ぎじゃないですかねえ。」とも言われた。
自分は、議決書案の認定事実関係を付け加えている・・・これで良いのかどうかと思いつつ。
総括審判官から、指定官職は明日から部長面談であるという連絡があったが、おそらく自分は金曜日になるだろう。

2.因果関係・一連一体性

お昼休みに弁護士出身審判官から、「会計用語の『回転期間』の『回転』ってなんですか?『キャッシュ・フロー』ってなぜ重要なんですか?」と聞かれ、A審査官も交えて答えていた。
自分は、A事件の議決書案を書き進めているが、事実認定をうんうん唸りながら書いている。
弁護士出身審判官に「・・・と・・・との因果関係は難しいですね。」というと、「あまり真正面に因果関係を考えずに、請求人の目的どおりの結果になっているのであれば両者は一連一体性があると考えて書けば良いんじゃないですかね?ここ(国税)の人たちは、そんな風に考えるのが好きじゃないですか。」とアドバイスをくれた。
管理係長経由で、国税庁参事官名の「業務外目的でPCを使うな。」という注意のメールが来た。
明日、明後日は休暇を取るが、A審査官には、朝見せたもののうち一部をしらっと差し替えていることと、どのように直して貰ってもよい旨を言った。
「神戸支所時代に見る影もなく修正されることに慣れているので。」と言うとA審査官は苦笑していた。

3.平成27年〇月〇日

2日問休暇を取得しており、3日振りに出勤し、「いかにも白浜に行ってきました~」とアピールしているようなお土産は封を開けてお茶っ葉のスペースに置く。
来週の月曜会(審判部の指定官職の週初めの会議)の準備のためか、総括審判官がA審査官に「新件も含めて(当初合議の予定も仮で入れて)9月までの進行管理表を作って出しておいて。」と指示していた。
そして、弁護士出身審判官と自分に対して、「審査請求から4か月を経過しているので、現時点での議決書案を部長に・・・日の朝に説明してもらいます。」と言われた。
確かに事務年度初めの打ち合わせで言っていたことだが、なし崩し的にウヤムヤにはさせてもらえなかった。
まだ、火曜日に書き進めておいてまだ良かったが・・・。
そうしたら、A審査官が、
・A事件などは、もともと1部門の事件でゴタゴタしているうちに4か月が経過しているのに・・・。
・1年以内処理を破るものについて、「自分が言いたくないから事前にネゴしとけ」とかはおかしいのではないか。
・部長が合議体の業務に疎い中で、総括審判官が事件の進捗状況に目を向けないまま、スケジュールありきで進めるべきとの刷り込みをしてしまうのはまずいのではないか。
とぼやいていた。
事件に関する詳細の理解が追い付いていないままにB事件の議決書案を読み始め、自分としては薄っぺらい指摘をする。

4.事件処理の部門内の打ち合わせ

お昼はA審査官と2人で「白浜には昔行った」とか「子供の名前」などの話をしていた。
B審査官が、A審査官のところに、「新しい不服申立制度になったら審査請求が増えて大変ですね。今は嵐の前の静けさですかね。」と言っていたが、A審査官は、「そうなったら、審判所よりも審理課が大変になる(答弁書を書かないといけないから)。」と答えていた。
午後から、自分と弁護士出身審判官とA審査官の3人でA事件の打ち合わせをしたが、
・主張が長すぎて、判断と請求人の主張に必要な部分以外は項目のみで良いのではないか。
・こちらの方針はぶれずに進まないと深みにはまる」
・近いうちに部長に説明するということになれば、中間合議なんていらないのでは?
ということを2人に言われた。
そして、「議決書案はこのままにしておき、口頭でその点を言えば良いのでは?」ということになった。
その後、部長に呼ばれて面談があったが、「ギャンブルの趣味は?借金は?」というプライベートに首を突っ込まれるような質問はなく、「これから審判所におけるキャリアをどう活かすか?家族の状況は?」という一般的な話で終わった。
その後、定刻まで議決書案を修正しようとするがほとんど手付かずで終わる。
神戸支所で参加審判官をしていたC事件の裁決が下りていた。
裁決書の内容を見たが、当時の副審判官・審査官が拘っていた税額の計算プロセスに関する記述が法規審査段階でバッサリなくなっていた。

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