【0317】民間出身国税審判官の或る日の日記(その74)

1.部門打ち合わせ

出勤してさっそく昨日の意見聴取の提出案を考える。
書いているうちに筆が滑ってしまうが、ただやることを増やすだけでは自分の首が締まることから、進行管理については、「『議決から裁決書謄本発送まで90日→60日』について、異動期・年末年始・大型連休といった進行管理の改善のみではコントロールできない事情があり、暦日数ではなく稼働日数でカウントする方がよいのではないか(たとえば、60日ではなく40稼働日)。そうしなければ、進行管理の改善を実施しても、実績測定の際にその効果が薄れて顕れることになる。」調査審理のレベルアップについては、「『未済事件説明会の隔月開催』について、現在の形式で回数を増やすと、審判部、審理部双方の負担が増大する可能性がある。たとえば、未済事件説明会を開催せず、毎週開催の審判部幹部会(第二部でいう月曜会)のうち、毎月1回(7月と1月は不開催)については、審議まで開催するなどして、所長、次席、法規審査担当審判官の臨席を仰ぎ、進行管理表に沿って進捗状況を中心に説明する(その場で事件検討会の開催要否を判断)という運用をするなど、所内における工数の『スクラップ&ビルト』を意識する必要があるのではないか。」と書いて送った。
A審査官から、昨日夕方答弁書が到着したA事件の担当審判官指定決裁が回付され、初めて先日作った訂正印を押す。
主任審判官が「3役打ち合わせが終わったら部門で打ち合わせしましょう」と言って部長室に入ったが、今日も1時間コースである。
所長見え消し裁決書(審判所長が裁決書案を自ら手直ししたもの)が1件出たが、最近ペースが遅いのは、合議体が議決を上げず、審理部の持ち高が極端に減っているからなのだろう。
住宅取得資金贈与を住宅建築資金の支払後に貰っていたというケ-スで、「充てる」の分離解釈からすると、借入(つなぎ融資)で住宅を取得して、その返済のために資金贈与を受けるというのは、適用外ということになるようだ。
ここでも、措置法規定は特例なのだから文言に厳格に適用すべきという文言が出てくる。
2部門の打ち合わせは、次席審判官のコメントの中身についての情報共有であり、「主張と判断のリンクが上下して見づらい」「調査審理不尽の議決書あり」「事件検討会について、資料不足、検討すべき事項が分かりづらい、証拠の提示がないなど」などを言っていたようだ。
B事件についての進捗をその場で確認したが、昨日のA審査官の悩みの話になり、来週水曜日の部長会前までに何とか説明を終わらせないと、ということになった。

2.事件処理が入り乱れる

終了後はC事件の当初合議後の再度の合議体打ち合わせとなり、自分とA審査官は退席した。
A審査官は・・・のネタがないことで悩んでいたが、ここまで来たらA審査官の原案作成まで一蓮托生で待つしかない。
昼食は部長と主任審判官とA審査官と4人で行くが、やはり自分がまだ半袖を着ていることを弄われる。
10年職歴の話になって、A審査官は、自分の掲載頁を見せて、「ね、自分の経歴がわかりにくいでしょ?」と言ってきたが、確かに・・・だった。
D事件は再度面談をすることになり、29日の午後に入るようだ・・・事件が入り乱れて忙しい。
弁護士出身審判官が、さっそくE事件の当初合議資料をレビューしてくれているようだ。
弁護士出身審判官からは、・・・などの問題提起を受けたが、先行の事件と同じで行こうということになった。
不服申立制度改正の税理士会(支部)の研修の働きかけについては、その管理表があり年始にかけてもかなりの支部で研修をするようだが、基本的には部長以上が派遣されるようで自分としては残念。
弁護士出身審判官にA事件で、審理部の副審判官が先週金曜日に言っていたことを確認しようと思ったら、逆に弁護士出身審判官の方から質問されたが、あくまで・・・という主張になりそうだ。
弁護士出身審判官が、15時を過ぎて講演のために大阪高裁に出張(徒歩だが)でそのまま懇親会の会場に行くようである。
1部門の副審判官が、F事件で・・・と言っていたが、請求人の気持ちが少し理解できたかも。
1部門の副審判官が、「(F事件の事件検討会の参考にしたいため)B事件の事件検討会の資料を見せてくれ。」と言ってきたがまだであることを言う。
管理係の審査官から外字データの復元方法について本部からの指示が来たとのメールが来るが、やってみても空データになるので、大阪フォルダの直近の外字データを上書きしてリストアしてみたらうまくいった。
インフルエンザ予防接種の各人別割当表が総括審判官からもらい、12月8日になっていたが、ちょっと遅い感じ・・・子供と一緒に受けたら良かったかしら。
給料日は金曜日だが、B審査官から部門費徴収袋をもらい、間髪いれず14,200円を入れて返す。
A事件の答弁書を読んでいた主任審判官から、「A事件は大丈夫そうですね。」と言われる。
総括審判官から、11月10日・11日に副審判官以上は本部次長の個別面談があるとの連絡があった。
前の次長はよく喋るイメージがあったが、今回の次長はどうだろうか。
審理部の女性の副審判官が、今日の懇親会の会費を持って来たが、裁判官出身審判官の分も持って来た・・・裁判官出身審判官はお金ないはずだが副審判官が立て替えたということ?
誰かが背後からやってくるなと思ったらC審査官で、コーヒーカップを引き去ってくれた。

3.管理課・審理部との懇親会

18時にエレベータ前集合ということで17時半を過ぎても2部門メンバーが残っていると、総括審判官が、「残業したいのはヤマヤマだろうけど、早く帰ってや。」と言い残して帰る。
1部門の副審判官を見送るのは、2部に来て初めてかもしれないと思った。
トイレで管理課の主任に会い、「半袖期間負けました。」と言われ、移動中も言われる。
会場までは裁判官出身審判官などとしゃべるが、「B事件で今頃・・・をしたんですか?」というもっともな質問をされる。
自分はなぜか奥になり、向かいは主任審判官、右はA審査官、斜め向かいは会計係長となる。最初は裁判官出身審判官の発声で乾杯となる。
2部門と裁判官出身審判官の主眼は(きれいな女性の)会計係長としゃべりたいということだったが、前半は主任審判官が、後半は裁判官出身審判官が親しく喋っていた。
会計係長は意外にフランクな感じで、「過去の上司に手品を習い、胸付近から鳩を出す手品をして、顔合わせ会では一応チャイナドレスなどを仕込みで持っていく」みたいな話をしていたときに、「鳩胸なら良かったんですけどね。」と自ら自虐ネタを言っていた。
横では前事務年度のA審査官と(現在の)1部門の弁護士出身審判官のバトルの話になっていたり、向こう(裁判官出身審判官など)では、自分が給与計算の誤りを指摘したことがある(数字や金に細かい)などの話をしているようだった・・・会計士なのでそれで全然OKなのだが。
途中、主任審判官が「変な電話がかかってきた」といって中座し、しばらくすると、管理課長補佐がやってきた(ドアは開けていないがガラス張りなので来たのがよくわかる)。
会計係長と補佐は日常でもバトルを繰り広げたことがあるようで、「今日、この懇親会があるとは言っていないのでなんか気まずい。」と言っていた。
裁判官出身審判官のコメントで、「自分は、裁決書の化粧をしているだけだ。」「次席審判官は証拠を見るようだが、自分としては、証拠は自分よりも詳しい国税プロパーの各担当者が全部見ているのだから、証拠は見ない主義だ。」というのが印象的だった。
最後は、主任審判官の挨拶でお開きとなり、みんな天満橋まで歩いて、自分は弁護士出身審判官と京阪で帰るが、電車の中でA事件の事実関係の話をする。
B事件の進捗関係のことを聞かれるのがいやだったがその話にはならなかった。

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