【0040】質問応答記録書を作成「される」ときの留意点

1.質問応答記録書とは

納税者から審査請求されると、却下になる事案以外は全件と言っても差し支えないですが、原処分庁(税務署・国税局)に対して、原処分調査資料を職権で調査することになります。

そういう意味で、審判所は、税務調査を調査する役所でもあり、税理士にとって新鮮な経験になります。

調査資料の中で良く登場するのが、調査報告書です。

調査報告書は、関係者からのヒアリング、反面調査などの内容が、「鏡(表紙)」とともに記載され、統括官→担当副署長(署長)決裁に回付されるものです。

関係者からのヒアリング内容を調査官が聞き取って調査報告書化されることも多いのですが、ヒアリングした内容を調査官が勝手にまとめているだけでは、審査請求に至った時に、納税者が開示請求でそれを見たとしても「そんなことを言った覚えがない」、「そんなニュアンスで言っていない」、挙句の果てには「無理矢理言わされた」と主張された時に弱いという側面があります。

そこで、質問内容・申述内容を、原則その場で調査官が書面にまとめ、本人に読み聞かせて、「上記のとおり相違ありません」欄の下に署名押印させて、調査報告書の鏡に添付する書類を「質問応答記録書」という形にしておくのです。

調査官にとってはかなり負荷の大きい手続ですが、後々に覆される可能性が低いという(調査官側の)メリットもあります。

2.質問応答記録書を作成する意図

それでは、調査官が、わざわざ負荷の大きい手続をなぜ採るかということですが、次のような場合が想定されます。

❶事案自体の規模が大きい場合
❷後々、審査請求などの税務争訟に至った場合の対策
❸関係者間で相互に矛盾が予定される場合
目的や意図といった物理的な証拠を掴むことが難しく、それが事実認定に必要と考えている場合

そうなると、❶以外で、「質問応答記録書を録取したいので協力願いたい」と言われた場合に、ちょっとイヤな感じがします。

例えば、❹において、調査官が「租税回避を意図してやりました」という趣旨の申述を録取したいと考えていて、そのように答えさせるような質問項目を入れておいて、そういった申述を質問応答記録書に含ませて署名押印をさせ、後日、調査結果の説明時に「こう言いましたよね?」と追い込む、といったことが全くないとはいえず、質問応答記録書は、調査官が内部で作成しただけの調査報告書よりも相当重要な証拠になります。

3.担当審判官が作成する質問調書

国税不服審判所でも、関係者に質問調査をして、「質問調書」を録取します。

内容・手続は質問応答記録書とほぼ変わりませんが、やみくもに質問しているわけではありませんので、どのような質問がなされるかによって、担当審判官がいずれの方向性で事件を処理したいか(そのために、どのような答述を録取したいか)が、見る人が見れば察知できる場合があります。

同じようなことは、税務調査時の質問応答記録書にもいえることで、どのような質問がなされるのかによって、調査官が何を認定したいのか(どのような指摘に持ちこみたいのか)が察知できる場合があります。

税理士としては、質問応答記録書の申述の内容の正確性のチェックもさることながら、代理人として、調査官による質問項目それ自体に関心を持って立ち会う必要があります。

場合によっては、
・その質問をする意図は何ですか?
・その質問は課税要件とどう関係するのですか?
・その質問によって何を認定するつもりですか?
といった、調査官を牽制する質問を発する必要があり、そういった態度が納税者に信頼されることにもつながるように思います。

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