【0020】原処分庁調査の新鮮さ

1.原処分庁調査とは

担当審判官に事案が配付(ちなみに、号外のように不特定多数に撒く場合は「配布」、特定した人に配る場合は「配付」です)されて、必ず実施する職権調査に「原処分庁が収集した証拠の閲覧収集(審判所内の通称「原処分庁調査」)」があります。

証拠は、処分をした税務署(国税局の調査であれば国税局)に通常あるはずですので、担当審判官と国税審査官がその税務署に赴くことになります。

通常は2人ペアですが、担当審判官がまだ慣れていない場合や、参加審判官が特に希望する場合には、合計3~4名で行くこともあります。

2.何を収集するのか

税理士(公認会計士)にとっては、
・税務署がどんな証拠を収集し、どんな意思決定を経て原処分に踏み切ったか
・事案の着手から原処分までの調査経過や納税者との生々しいやり取り
が垣間見える原処分庁調査は本当に新鮮でした。

ただし、審判所が必要な資料は、原処分を維持するか取り消すか否かを判断するための「証拠」であって、税務署の原処分までの意思決定過程を示す書面は、「あぁ~、こういう経緯で原処分をしたのか」という参考にはなりますが、コピーをして持って帰らないことになっています。

以前は、悉皆的に上記の意思決定過程を示す書面も収集していたようですが、現在は、担当審判官収集証拠も審査請求人からの閲覧対象になるので、審判所の判断に直接関係のない書面は、現場で見る(必要に応じて個人メモを取る)ことはあっても、「マスキングの手間が煩雑になり、マスキングされたことのクレームの対応が大変」ということで、収集することはしないという国税局との申し合わせがあります。

3.処分をした税務署長に対する挨拶

原処分庁調査に伺うと、上記の職権収集の他に、担当審判官がするセレモニーがあります。

それは、署長室に入って、署長にご挨拶をすることです。

そこで、「この度、審査請求人〇〇から審査請求が出ております。つきましては、御署が収集された資料を拝見に伺いましたので、ご協力方お願いいたします」と(大げさにいえば)仁義を切るのです。

担当審判官が民間出身で、かつ、1人で署長室に行く場合は少し緊張しますし、相手も「コイツ何もんだ」という感じで身構えられることもあるのですが、国税プロパー出身の参加審判官が「あの署長は知っているから一緒に行ってあげますわ」と言ってくれることも多く、実際には和やかにお話をして「それでは、作業に入らせていただきます」と言って、15分程度で席を立つのが通例です。

それでも、大阪国税局83署の筆頭である東税務署に赴いた(といっても大阪国税不服審判所がある国税庁舎の13階から東税務署のある2階に降りただけ)ときは、「(国税局部長級の)署長・(副署長4名のうち)法人担当2名・法人課税1部門統括官」を相手に、民間出身の国税審判官として何を喋ればよいのやらという感じで、しどろもどろだったことを思い出します。

こういった機会や、原処分庁からの主張書面(意見書)が、例えば国税局長処分の場合は、

差出人「 大阪国税局長」名で宛先「担当審判官(自分)」

で届くといったいろんな経験をすることによって、自分の身の丈をはるかに超えた職場にいることの「辛さ」と「貴重さ」を感じていました。

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