【0136】民間出身国税審判官の或る日の日記(その24)

1.平成27年4月2日

支所長と総括審判官は新旧審判所長の挨拶・訓示や部長会・総括連絡会のため本所に直行。
支所長、総括審判官がいないということで、特に1部門はタラタラした雰囲気。
副審判官が先日支所長を訪ねてきた須磨署の元運転手の子供がキャリア官僚であるという話を審査官にしていたが、その官僚は大臣秘書官であり、それはキャリアでも出世コースなんだそうだ。
ただし、その元運転手は、「息子は一橋だから、やはり東大には勝てない。」みたいな話をしていたようだ。
行(二)俸給表適用者の子供がキャリアということで、トンビが鷹を生むみたいにみんな捉えているようだが、そんなにすごいことなのかなと思う。
新審判所長の支所視察の日程を副審判官が他の者に聞いていたが、「23日だったら俺も審査官も名古屋出張だし、翌日は休みだし、そもそも俺らはあと3か月しか関わりないし。」とやはり逃げ切りムード満載である。
副審判官が23日の出張に関して京都支所の国税プロパー出身審判官(その副審判官が某税務署の総務課長だった当時の副署長)に電話したところ、「研修終了後の晩にひつまぶしを食べる計画をしていて、延々並ぶことにチャレンジしようかと思っているのだが、それで良いか。」みたいな話をしていたようで、しかも、その後熱田神宮にも行くらしい。

(補足)
行(二)俸給表とは、国家一般職の中でも運転手・用務員といった職種の方に適用される俸給表(給与テーブル表)のようです。
支所長と副審判官がその運転手さんと同勤しており、2人が同じ勤務地におられると聞いて連絡を取られたそうです。
その方の子どもさんが、キャリア官僚になったということで、皆さんは「トンビが鷹を生む」みたいに捉えていたようです。
国税不服審判所の基幹支部で行われる研修会について、大阪審判所でも類似の研修は行われるのですが、支所を空けるわけにはいかない(全員参加はできない)ため、留守番をしていた者は他の審判所主催の研修に優先的に行けるように取り扱われていました。
副審判官等の名古屋出張は、日ごろ留守番をしていた代わりとして名古屋審判所で行われていた研修に行ったものですが、研修内容よりも出張の楽しみの方が勝っているようでした・・・。

2.GWは開店休業

年度始まりということもあり、総括連絡会の資料が多く、「連絡網」「扶養親族現況届提出依頼」「6月までの休暇予定」「5月14日の全国所長会議の日程と意見聴取依頼」などがあったが、男性の育児参加についての休暇等の促進という資料もあった。
自分は扶養手当の支給対象外の職員であるため、扶養親族現況届なんて関わりのねえことでござんす。
この時期としては恒例の「GWの休暇取得促進」もあった。
GWの休暇予定については、副審判官から「もっと休まないと!」と促され、5月7日と8日を休みに追加して9連休にした。
まあ、メンバーの全員が出勤していないと合議も入れられないからな・・・。
7月で退官になる弁護士出身審判官に至っては、4日くらい休暇の追加を促され、12連休になっていた。
新所長の支所視察は16日になりそうであり、夜の懇親会もあるが、会場が確保できるかどうかである。
管理課の誰かは随行するだろうから、支所10名を含めて12名ということになり、午後4時頃に官用車で来られて概要説明をして、5時過ぎに移動して懇親会ということになる。

(補足)
国税不服審判所は審判官の合議で事案の趨勢を決する機関であり、それはそれで慎重な審議がなされるという点では良いのですが、構成員の誰かひとりでも休暇を取ると合議が開催できず、意思決定ができないという側面もあります。
官庁である以上、年末年始・GW期間中・お盆期間であっても平日である限りは開庁していなければなりませんので、交替で休暇を取得することになりますし、そのような「誰かが休暇を取りやすい」期間は実質的に国税不服審判所の審理がストップすることになります。
それまで公認会計士として、GWはないものと諦めていた私にとって、その時期の9連休は手持ち無沙汰であると同時に、一抹の罪悪感を覚えながら過ごしていたものでした。

3.税理士からの事案の見立て

「所長見え消し裁決書」フォルダで信義則についての事件があったが、租税法律主義から離脱してまで納税者の権利を保護するような特別な事情かなければ認められず、なかなかハードルが高い。
自分の担当する予定の事件の原処分庁担当者から電話があり、原処分関係資料が到着した。
代理人税理士の原処分庁担当者に対する申述で、「今回は相続ではなく遺贈なので保険契約はないだろうと思って保険契約の存在は聞かなかった。」とあり、遺言執行人である信託銀行の紹介で担当することになった税理士としては、同業者として同情の余地はあれども過失の誹りは免れないかもしれない。
相続人であれば保険金の非課税の適用があったが、本件は相続人でない受遺者が保険金受取人であるので、保険金がそのまま課税価格に加算されてしまうので、結果的にはなおさら確認すべきだったということになるだろう。

(補足)
信託銀行担当者から相続税申告のクライアントを紹介されて、「財産一覧と帰属は確定していますから申告書の作成だけをお願いします」と言われると、民法上の相続財産以外の相続財産の存否についてどこまで突っ込んで財産調査するか(相続人に質問するか)と問われれば、確かに微妙なところはあります。
本件は、財産一覧のとおりに相続税申告したところ、原処分庁から保険金の存在を指摘され、本税はともかく、保険金の受取人ではない受遺者が過少申告加算税まで課されるのは如何なものかといった主張だったと記憶していますが、我が国の法定相続分課税方式の特徴とあいまって、加算税が課されることが酷であるとの主張は理解できないものではありませんでした。

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