【0238】審査請求書の補正

1.国税通則法の規定

国税通則法第91条は、審査請求人から提出された審査請求書が同法第87条又は124条の規定に違反する場合には相当の期間内に不備の補正を求めるととともに、軽微な不備であれば国税不服審判所長の職権による補正を認める旨を規定しています。
審査請求を提起するに当たっては、一定の形式及び手続が必要です。
そこで、国税不服審判所長は、収受した審査請求書が国税に関する法律の規定に従つているかいないかについて、形式審理を行います。
これについての実務は、国税不服審判所の各支部(各地域審判所)の管理課職員が担当して行います。
審査請求が一定の形式及び手続を具備していないときは、その不備が補正可能なものであれば補正要求がされることになり、また、その不備が補正することのできないものであるときは、裁決により却下されます。
補正に当たっては、通常の方法によるもの、審判所長の職権により行うもの及び審査請求人の口頭による方法が予定されています。
審査請求が、一定の形式及び手続を具備しているときにはじめて、原処分庁に答弁書の提出を求め、実質審理(本案審理)に入ることになります。
なお、本条は、行政不服審査法第23条の規定に相応します。

2.形式審査

国税通則法第87条は、審査請求書には、審査請求に係る処分の内容、その処分があつたことを知った日等、審査請求の趣旨及び理由並びに審査請求の年月日(正当な理由によりその期限経過後に提出するような場合には、その正当な理由)等の記載を求めています。
また、同法第124条は、書類提出者の氏名(法人については、名称)、住所又は居所及び番号(番号を有しない者にあっては、その氏名及び住所又は居所)の記載を求め、納税管理人若しくは代理人又は総代についても同様です。
なお、国税通則法施行令第32条では、計数的資料添付の努力義務のほか、代理人等の権限を証する書面の添付を求めています。
努力義務の場合を除き、これらの規定の要件を満たしていない審査請求書は、不備な審査請求書であるので、国税不服審判所長は、相当の期間を定め、その期間内に不備の補正を求めることとなります。
このような法定の要件を具備しているか否かの調査を形式審査といいます。

3.形式審査のポイント

形式審査においては、具体的に次の各事項について、その事実等の存否等を審理しますが、このうち❶から❽までは、それらの事項が満たされない限り不適法事由となり得るものであり、❾及び❿は、それらの事項が満たされなくても、不適法事由とはなり得ない性格のものです。
❶審査請求の対象となった処分が審査請求をすることができないものかどうか。
❷審査請求の対象となった処分が存在するかどうか(当該処分がはじめから存在しないときのほか、審査請求についての裁決までに当該処分が消滅しているかどうかを含みます。)。
➌審査請求の対象となった処分が審査請求人の権利又は法律上の利益を侵害するものかどうか。
➍審査請求の対象となった処分について、既に審判所長の裁決がされているかどうか。
❺二審的審査請求の場合には、再調査の請求が適法にされているかどうか。
❻審査請求が法定の審査請求期間経過前にされているかどうか。
❼代理人又は総代によってなされる審査請求にあっては、これらの者の資格を証する書面の添付があるかどうか。
❽審査請求書の記載事項は満たされているかどうか。
❾審査請求書の記載事項は十分であるかどうか。
❿計数的に説明する資料の添付があるかどうか。
例えば、❶から❻までが満たされない場合には、事柄の性質上補正は不可能ですが、❼から❿までの事項が満たされない場合には、通常補正することが可能ですので、これらの事項については補正要求の対象となり得ます。

4.補正要求の手続

審査請求に不備、欠陥がある場合において補正要求をする権限を有するのは、国税不服審判所長ですが、この権限は、支部の首席国税審判官(各地域審判所長)に委任されていますので、原則として支部の首席国税審判官が補正要求の主体となります。
したがって、補正要求に際して、担当審判官や参加審判官を指定する必要はありません。
また、補正要求は、原則として口頭又は文書により行われますが、補正がされない場合には、その審査請求を不適法なものとして却下することとなるような事項のあるものについては、具体的に補正すべき事項を示した書面により行う取扱いとしています。
ところで、補正要求は、相当の期間を定めて行うことが必要です。
ここにいう相当の期間とは、客観的に審査請求の不備、欠陥を補正するに足りると認められる期間をいい、通常の郵送に必要な期間及び補正すべき事項の難易により長短の差は有り得るでしょう。

5.補正の方法

補正要求がされた場合、審査請求人の行う補正は、原則として既に提出されている審査請求書とは別の書面を以て行うこととなりますが、場合により提出済の審査請求書の記載事項を補足確認する方法によって行うこともできます。
審査請求書の不備が軽微なもので、審査請求の調査及び審理を行う上で支障のないものであるときは、国税不服審判所の支部の首席国税審判官は、職権で補正することができます
この職権による補正は、その不備、欠陥が軽微で、かつ、明白な場合に行われるものであり、したがつて、審査請求人の意思を合理的に推測し、審査請求の目的、趣旨、理由その他請求の要件に変更を来すものでない態様においてなされます。
ここで、「できる」の意義について、税務署長等を名宛人とする規定の場合には「可能」の意味ではなく、法律用語としては「権能」があること(権限能力を与えられたこと)を意味しますので、その権能を行使すべき場合(本件であれば、軽微な不備があること)に該当する事実があれば、むしろこれを行使しなければならないことになります。
したがつて、これを行使しないで(職権で補正することをしないで)却下すれば、それは、違法な審査裁決となり得ます。

6.補正の効果

補正要求に対し、当該補正要求で定めた期間内に補正されたときは、初めから不備、欠陥のない審査請求がされたものとしての効果を生じます。
これに反して、補正を求められた相当の期間内にその不備、欠陥が補正されなかった場合において、当該請求が不備、欠陥の故に不適法であるときは、その審査請求は却下されます。

7.口頭による補正

審査請求についての補正の方法は、❶通常の方式によるもの、❷職権によるもの及び➌口頭によるものの三つがあります。
口頭による補正は、この法律が特に認めた方法です。
それによれば、審査請求人は国税不服審判所の支部に出頭して補正すべき事項について陳述し、当該支部の職員は、その陳述の内容を録取した書面を作成します。
その場合、審査請求人は、当該書面の内容が陳述の内容と相違ないことを確認することとなります。
このような手続が要求されるのは、審査請求人の意思の確実な伝達と、証拠保全を図るためであるといわれています。

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