【0223】口頭意見陳述の留意点(その5)

1.審理関係人の招集における期日の指定

担当審判官は、原則として、口頭意見陳述の場に全ての審理関係人を招集する必要があるため、その期日を指定するに当たっては、審理関係人の都合を調整する必要がありますし、一旦指定した期日を変更する場合も同様です。
担当審判官は、期日等を指定するに当たり、口頭意見陳述が円滑に実施できるように、審理関係人と出席予定者や陳述内容、質問事項を含め、日程調整等を行う必要があります。
なお、口頭意見陳述は申立人による申立てにより実施するものであることから、担当審判官は、申立てがあった後、速やかに日程等の調整を行うことが望ましいですが、当事者双方の主張がいまだ尽くされていないなど、事件の進捗状況によっては、直ちに口頭意見陳述を実施するのではなく、実施時期等を調整する必要があり得ます。

2.場所の指定

口頭意見陳述は非公開で行われ、実施場所は、原則として、国税不服審判所の支部(各地域国税不服審判所)又は支所の庁舎内となりますが、担当審判官は、審理関係人の事情等を考慮し、その理解を得た上で、適切な場所を指定することができるとされています。
特に、審理関係人が支部又は支所から遠隔地に居住、所在している場合には、支部又は支所への来所を強いることがないよう配意することになります。
審理関係人が支部又は支所に来所する場合にあっても、交通費の支給がないのは当然です。
ちなみに、「審判所と国税局(税務署)は所詮『同じ穴の狢』ではないか」との無用な誤解を避ける観点から、税務署又は国税局の会議室等の使用はしないことになっています。
なお、申立人が支部又は支所から遠隔地に居住、所在していることは、国税通則法第95条の2第3項において準用する第84条第1項の「申立人の所在その他の事情により当該意見を述べる機会を与えることが困難であると認められる場合」には該当しないとされています。

3.期日及び場所の指定に係る留意点

担当審判官が指定する期日や場所は、審理関係人が出頭することが可能な日時及び場所でなければなりません。
この場合において、当該意見を述べる機会を与えることが困難であると認められる「申立人の所在その他の事情」とは、例えば、申立人が矯正施設に収容されていて相当の期間出所の見込がない場合など、申立人が担当審判官の指定した期日及び場所に出頭して口頭で意見を述べることが困難である原因となる事情をいいます。
なお、会場を確保するに当たっては、参加者の人数を勘案し、参加者相互の距離感がある程度保つことのできる会場の広さ、また、予定時間を超過した場合にも対応できるようある程度時間に余裕がある会場、更には、隣室等に話し声が漏れるおそれがない機密性などについても考慮する必要があるでしょう。
また、口頭意見陳述を実施する場合には、他の行事又は用務との日程調整の兼ね合いがあり得るため、事前に管理課と協議した上で会場の予約をしています。
ちなみに、申立人が原処分庁の出席を求めない場合には、口頭意見陳述の期日及び場所に関する原処分庁との調整が不要であることはいうまでもありません。

4.税務署長本人や調査担当者本人を引き摺り出すことはできない

口頭意見陳述に関しては、申立人から、「原処分庁」として「税務署長」等の処分権者本人を出席させることや、原処分を行った際の「調査担当者」本人を出席させるように申し立てられることも考えられます。
原処分から口頭意見陳述までの間に請求人の納税地の異動に伴って原処分庁が異動した場合に招集対象となる原処分庁は、原則として、処分時ではなく口頭意見陳述の招集時の原処分庁であり、また、原処分庁とは、例えば、税務署長、国税局長、税関長等をいうことから、原処分庁側の出席者は、招集時における原処分庁に所属する不服申立ての事務を担当する職員となります。
このため、原処分庁に対する招集の通知書の宛先は、飽くまで原処分庁とし、併せて現に出席する担当者に関する出席届出書を原処分庁から提出させています。
したがって、処分権者である税務署長本人や、実際に調査を担当した調査官本人を出席させて、担当審判官の面前で直接主張(というよりも苦情)を申立てようとしても、実際に出席するのは原処分庁の現在の不服申立て担当者に過ぎず、その狙いは実現しません

5.非公開で実施することについて

口頭意見陳述を公開で行うか否かについては、国税通則法は、行政不服審査法と同様に、申立人に公開審理請求権を付与していません。
また、担当審判官の裁量により、口頭意見陳述を公開で行う取扱いをすることも認めていません。
しかしながら、個別法において、公開審理請求権が認められている場合がある(国家公務員法91条2項)ほか、請求人の請求がなくても公開が義務付けられている例(都市計画法50条3項)、公開を義務付けているが当事者の申立てにより非公開とすることができるとしている例(社会保険審査官及び社会保険審査会法37条)、不服申立てを審理する行政庁の裁量で公開審理を行うこととしている例(地方税法433条6項)があるなど、公開審理が行われる手続もあります。
このため、請求人としては、他の不服審査手続に公開による口頭意見陳述が認められていることを理由に、担当審判官に対して、口頭意見陳述を公開で行うよう求めたいとも考えられるところです。
しかし、国税通則法における口頭意見陳述については、上記の理由から非公開で実施することとされており、請求人による公開審理の要求が実現することはありませんし、無理に公開を求めたとすれば、手続の中止(究極的には審理手続の終結通知)に発展しかねません

6.申立人が日程調整に応じない場合

担当審判官からの日程調整の要請に対し、申立人が、出席可能な日を提示しない等、日程調整に応じようとしない場合であっても、口頭意見陳述の申立てがされた以上、口頭意見陳述の機会を与えなければならないことから、担当審判官は、できるだけ申立人が出席可能な日を提示できるように配慮することになります。
なお、担当審判官の数度にわたる日程調整に対し、合理的な理由もなく申立人から一向に出席可能日が提示されないなど迅速な審理の妨げとなると認められる場合には、担当審判官は、申立人に対して、担当審判官が指定する複数の開催希望日(又は期間)の提示を行うとともに、これに対する出席可能日の回答期限を定めて回答させ、回答期限を経過しても回答がないとき、あるいは合理的な理由もなく出席不可能である旨の回答がされたときには、その提示した開催希望日(又は期間)のうちから口頭意見陳述の開催日を決定し、審理関係人に対して口頭意見陳述の開催日を通知することとして差し支えないとされています。

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